最高益トヨタ、上り調子は揺るがないのか 円安効果を満喫し空前の利益水準
トヨタ自動車は2月4日、第3四半期決算の発表とあわせて2015年3月期の業績見通しを上方修正した。営業利益は2兆7000億円を見込んでおり、従来の予想から2000億円の上乗せとなる。
今期の業績上方修正はこれが2度目だが、驚きはない。なぜなら、2015年度下期の為替前提が1ドル105円と実勢のレートとかけ離れていた。トヨタの場合、対ドルで1円円安になると年間ベースで400億円の増益となり、販売台数が大きく変わらなければ、利益の上振れは確実だった。
また、トヨタの予想の出し方は保守的なことで知られている。近年でもリーマンショック直後で赤字に転落した2009年3月期を例外として、実績は常に期初に示した業績見通しを上回ってきた。2月5日の株価は終値が前日比74円安の7654円。ほぼ”無反応”なのは、業績の上方修正が織り込み済みだった証拠だろう。
販売台数はほとんど前期並み
空前の利益をたたき出す一方、足元の事業環境はそれほど楽観できない。今回、連結ベースの販売台数見通しは900万台へと5万台引き下げた。前期実績から11万台の減少となる。
経済が好調な北米の販売増がある一方、消費増税の落ち込みから回復が遅れる日本、タイやインドネシアなどの東南アジア、資源安で沈むロシア、南米などが前期を割り込む。持分法適用の中国を含むグループの世界総販売台数も1010万台と、こちらも前期実績にわずかにとどかないと見込んでいる。
お家芸の原価改善も1000億円単位のコスト削減に寄与しているが、研究開発費や減価償却費は増加。労務費も増やしており、円安効果がなければ利益はおおむね前期並みでしかない。
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