最高益トヨタ、上り調子は揺るがないのか 円安効果を満喫し空前の利益水準

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もちろん収益面の実力は高い。今回の第3四半期累計とリーマンショック前の2007年度の第3四半期累計と比べるとドルは10円、ユーロは23円、まだ今期のほうが円高だ。「(2007年度との比較で)為替だけの影響なら4000億円弱の減益要因に対し、2400億円強の増益となった。仕入れ先、販売店を含めたオールトヨタでの原価低減や営業面の努力の成果」と佐々木卓夫常務役員が胸を張るように、円高でも稼げる体質転換を着々と進めてきた結果、足元の円安メリットを最大限享受している。

問題は2015年度だ。来期の見通しについて佐々木常務は「今議論している最中」と言及を避けたが、1月中旬に発表した2015年(暦年ベース)の販売台数計画は前年比1%マイナスの1015万台。トヨタとレクサスは微増で、グループのダイハツ工業が足を引っ張ると見ている。

10万台単位の伸びは厳しい

年間1015万台という計画は、米国などの市場の伸びを保守的に見ており、足元で不振の市場も年度ベースでは考えればより回復が見込めることから、2015年度の販売台数はマイナスにはならないだろう。一方、まだら模様の世界経済を考えると、10万台単位で大きく伸びることも考えにくい。

為替影響を除けば売上高は1桁前半の伸びにとどまりそうだ。費用面では「意思ある踊り場」(豊田章男社長)としている今期からさらに研究開発費や減価償却費は増加する可能性が高い。「TNGA」と呼ばれる新しい設計・開発・生産手法は2015年度から一部出てくるものの、「本格的な効果は2017年度から」(佐々木常務)というように、費用が先行する。

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