ゼロコロナ不満爆発「中国」で何が起きているのか 週末に各地でコロナ抗議活動が勃発した真相

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より大きな怒りの原因は、監禁、隔離、大量検査によって感染をなくそうとする同氏「ゼロコロナ」戦略である。これにより、新型コロナによる死亡者数は他国よりもはるかに低く抑えられたが、中国の多くの都市はほぼ停止状態に陥り、数億人の生活と旅行に支障をきたし、多くの中小企業が閉鎖を余儀なくされた。

中国では、抗議行動は比較的まれである。特に習近平政権下では、党は政府に対抗するために人々が組織化する手段をほとんど排除してきた。反体制派は投獄され、ソーシャルメディアは厳しく検閲され、人権に関わる独立団体は禁止された。町や村で起こる抗議運動は、失業や土地紛争、公害などに不満を持つ労働者や農民など地元の人々が参加することが多く、通常は封じ込められたままである。

しかし、中国の新型コロナ規制の蔓延は、階級や地域を超えた怒りの焦点を作り出している。数週間に及ぶ閉鎖期間中の食糧難や失業に悩む移民労働者、キャンパスで拘束される大学生、旅行制限に悩む都会の社会人、彼らの不満の根は同じである。

不満を持つ人たちが団結することへの恐れ

共産党が最も恐れているのは、このような同じ不満によって、異なる背景を持つ抗議者たちが協力するようになることだ。1989年に天安門広場で起こった民主的な変革を求める抗議行動で、学生、労働者、小商人、住民が何らかの共通の原因を見出したのと似ている。

今のところ、それは起こっていない。北京時間の月曜日の朝までに、習近平を含む中国の指導者たちは週末の騒動についてまだコメントしておらず、党が運営するニュースメディアも沈黙を守っている。

新型コロナに関わる渡航制限と、外国人ジャーナリストに対する政府の規制が、抗議デモの報道を困難にしている。中国本土に2人のジャーナリストを置くニューヨーク・タイムズ紙は、オンラインで抗議行動を追跡し、電話インタビューや検証済みのビデオ、中国国内の情報源が記録したものを共有することで報道している。

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