ゼロコロナ不満爆発「中国」で何が起きているのか 週末に各地でコロナ抗議活動が勃発した真相

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習近平は、この怒りに簡単に応えることはできない。検閲官は、デモの写真やビデオ映像をすぐに削除するように動いた。もし、習近平がデモ隊を取り締まれば、国民をさらに怒らせ、中国の強大な治安組織にまで負担がかかる可能性がある。

多くの規制を突然解除すれば、新型コロナとの戦いの成功で築いた揺るぎない権威のイメージが損なわれる危険性がある。また、弱者にとって命取りになりかねない感染症が増加することも、不満の種になりかねない。

「これだけ不満が溜まっているのに、『ゼロコロナ』を続けるのか、どうするのかが当面の課題だ」。クレアモント・マッケナ大学で中国政治を研究するミンシン・ペイ教授(行政学)は話す。「これは彼が今後、例えば48時間から72時間の間に決断しなければならないことだ」。

「人々を逮捕し、刑務所に入れることはできるが、ウイルスはまだ存在している。彼には簡単な答えはなく、難しい選択しかない」。

上海でも抗議活動が「勃発」

土曜日の夜、上海では政治的な利害が一致し、最初は警戒していたのが街頭抗議行動へと発展した。

新疆ウイグル自治区にちなんで名づけられたウルムチ路に数十人の人々が集まり、火災の犠牲者を追悼した。数百人の群衆になると、新型コロナ規制の緩和を求める唱和が沸き起こった。「自由が欲しい」。その中には、習近平と共産党を公然と糾弾する者も少なくなかった。

「習近平!」群集の中の1人の男が繰り返し叫んだ。それに対して、「退陣しろ!」と唱える者もいた。

「この時代にこの動きは前代未聞だ」とペイ教授は指摘する。「新型コロナの政策に対する不満の表れだ。人々は疲れているのだ」。

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