円資産しか持たない人が大損するかもしれない訳 不測の「有事」の際、本当に役立つ資産とは何か?
そして、最も大きな変動を見せたのが為替相場であり、とりわけ「円相場」は30.8%も円安となり、円の価値が大きく下落した。日銀が金利を引き上げられない現実を世界中の投資家が狙ってきた、と言っていいだろう。ロシアのウクライナ侵攻後の株式市場と為替市場の最高値と最安値で比較すると次のようになる。騰落率はロシア・ウクライナ戦争以降の最安値と最高値の騰落率。
・最高値……4631.60(3月29日)
↓
・最安値……3577.03(10月12日)
・最安値……1758.89(3月9日)
↓
・最高値……2006.99(8月17日)
・最高値……114.82円(3月5日)
↓
・最安値……150.19円(10月20日)
<為替(ユーロ円):騰落率+18.02%>
・最高値……124.95円(3月6日)
↓
・最安値……147.47円(10月26日)
仮に、円だけで資産を保有してれば、今回の為替変動によって、ドルベースでは最大で3割も資産を減らしたことになる。日本に住んで円ベースだけで生きていくのであれば問題はなさそうだが、残念ながらそう単純な話ではない。食糧やエネルギーを輸入に頼っている日本にとって、円が下落すれば当然ながらインフレになる。将来的なインフレリスクにさらされるわけだ。
アメリカ株投資に「円安」はメリット?
ただ、資産を円以外で保有していたなら、今回の円安はデメリットばかりでもない。円高時にアメリカ株に投資していた人は、株価の下落の割には日本円で換算した場合、かなり少ない損失で済んでいたはずだ。銘柄によっては、円安分のほうが大きくプラス圏にとどまっていたケースもあるに違いない。
資産運用の基本は分散投資だが、やはりドルなどに分散しておいたほうが、急激な円安に襲われたときには、その効果が実感できる。こうした点からも、有事の際の資産防衛には「金」や「ドル」、そして「株式投資」が良かった、と言っていいだろう。それも、円高時代に海外の金融商品に投資しておくと、その効果はより大きいことがわかる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら