円資産しか持たない人が大損するかもしれない訳 不測の「有事」の際、本当に役立つ資産とは何か?

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株と債券の組み合わせだけでは、資産防衛のポートフォリオにならないということを物語っているわけだが、それ以外の資産というと「金」などの貴金属や絵画などの「美術品」、あるいは「不動産」ということになる。

不動産といっても、実際に不動産投資をしなくても、最近ではREIT(上場不動産投信)など、流動性の高い投資商品が揃っている。実際に、東証REIT指数は、戦争が始まった2月24日には1862.86(終値)だったのが、現在では1952.82(11月18日終値)となっており価格は下落していない。

富裕層であれば、ヘッジファンドや海外の銀行などに口座を作ってリスクヘッジ(回避)をすることも可能だが、現在では「暗号資産」という投資先もあるので、わざわざ最低数千万円といった大金を出して、ヘッジファンドや海外預金口座を開設する必要は少ないかもしれない。

もっとも、暗号資産が有事に役立つかというと、やや疑問が残る。ビットコインの値動きを見ても、円ベースで2月には1ビットコインが400万円台だったのが、現在では230万円前後。半分近くにまで下落している。FTXの経営破綻もあり、暗号資産の自然淘汰が始まりそうだ。

それでも基本は「分散投資」、円資産だけでは貧乏になる?

いずれにしても、今後はロシア・ウクライナ戦争、台湾海峡をはじめとする地政学リスクが当面続くだろうし、それらに起因する食料不足やエネルギー不足も当面は続くことになる。気候変動による天候不順などは今後の長いリスクのひとつだ。人類共通の課題と言っていい。

そんな状況の中で、金融市場は常に不安定で、ボラティリティ(変動幅)の大きなマーケットになることが予想される。とりわけ、日本は金利を引き上げられないといった金融政策面での弱点もあり、今後長期にわたって円が弱くなっていく可能性が指摘されている。ベトナムから日本へ出稼ぎに来ている労働者が円安で賃金が目減りするために、一時的に現地への送金を止めているという話もあるぐらいで、日本は先進国から滑り落ちてしまうかもしれない。

そんな状況の中で、少なくとも円預金や円の現金、日本企業の株式投資だけで資産を守ろうとするのはあまりにも無防備だ。物価連動型国債も日本政府が発行することを考えれば不安が残る。今後はドルベースで資産を考える時代になるのかもしれない。

再び円高に振れることもあるはずだが、円高になったらアメリカ株をはじめとする外貨資産に、とりあえず資産の何分の1かはシフトしておくことをお勧めしたい。円高になれば、金の国内価格も下落する。ドルに投資するのが嫌なら、金価格が下落したときに金を買うのもひとつの方法だ。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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