ロシアはこの戦争をどう締めくくるのか
大澤:プーチン政権をうまく打倒できたとして、その後のロシアをどう考えるか。そこはとても重要だと思うんですが、橋爪さんは、敗戦国の中で、権威主義的な体制から西側の体制に組み替えることができた唯一の成功例が日本だとおっしゃいました。
そのモデルをロシアに転用すればうまくいくんじゃないかというご意見ですね。NATOが軍事占領して、ロシア国民に対して民主的なシステムに移行する改革を行うということ。その案については、確かに一理あると思うし、大きく見れば日本は成功例かもしれません。
ただ、日本にいる者としては、日本における政治的な思想や行動の欠如みたいなものの淵源をたどっていくと、よく言われているように日本の敗戦の仕方に問題があったという見方もできます。それもあって、日本のやり方を真似してくださいという風には宣伝しにくい部分もあります。
もう1つ、日本の移行がうまくいったのは、日本という国の文化的な特質もあったと思うんです。なので、やはりほかの国も日本と同じようにうまくいくとはなかなか言いにくいところがあります。
橋爪:大澤さんの言うことはわかるが、敗戦したロシアが自分で変われるとはとても思えない。日本の敗戦処理のような外的な力が必要だと私は言っているんです。