日本語 語感の辞典 中村明著

日本語 語感の辞典 中村明著

コロンブスの卵ともいうべき快著である。一人の著者が成した、言葉の本質をとらえていく作業の積み重ねに圧倒される。父母を示す言葉は十指に余り、便所もトイレ、厠、はばかりなど見出し語は15もある。そして時代差、男女や長幼の差、丁寧度、状況の違い、ニュアンスの差などが丁寧に解説され、利用例も豊富だ。表現を絞り込みたいときなど極めて便利で、類語、反意語、語源、比喩の各辞典としての機能もある。

1万語と語数に制約があるためもあるが、言葉の選択には多少不満が残る。パティシエやピザパイよりもベジタリアンやキャリアのほうが利用価値は高いだろうし、美食があるのだから飽食や粗食も、英雄があるのならヒーローや女傑も欲しかった。中年男があって中年女や年増がないのはなぜか。粗茶、粗品など「粗」でくくった解説も面白そうだ。などと載っていない言葉を考えるのも楽しく、「引く」のみならず「読む」辞典としても推奨したい。(純)

岩波書店 3150円

  

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 子どもを本当に幸せにする「親の力」
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
  • 最新の週刊東洋経済
  • 高城幸司の会社の歩き方
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
好業績の裏で検査不正<br>スズキ「鈴木修経営」の光と影

5月10日の決算会見に登壇し完成検査の不正を詫びたスズキの鈴木修会長。不正は組織的・構造的な問題か、現場への目配り不足によるのか。長年にわたるカリスマ経営の副作用を指摘せざるをえない同社のガバナンス体制を詳解する。