報道のためのドローン活用、日本で広まるか IT関連の法律に詳しい弁護士に聞いてみた

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「報道とプライバシーの関係ですが、空撮によって、これまで撮影されることのなかったプライバシー空間が撮影・公開され、プライバシー侵害が生じるという可能性が出てきます。

この問題を考える上で参考になるのが、グーグルのストリートビューに関して2012年に出された福岡高裁の裁判例です」

伊藤弁護士が指摘したのは、福岡市内に住む女性が、マンションのベランダに干していた洗濯物を同意なく撮影され、ストリートビューで世界中に公表されたのは不法行為にあたるとして、グーグルに損害賠償を求めた裁判のことだ。

プライバシーへの配慮は?

「この裁判では、画像を見ても、洗濯物が干してあるかどうか明らかでないとしたうえで、一般公道の撮影においては、一定程度の私的事項が写りこむことは社会的に容認されているとして、違法性は認められませんでした。

しかし、福岡高裁は判決の中で、容ぼう以外の事項でも、その撮影・公表によってプライバシー侵害になり得るとも指摘しています。ドローンを使用することで、よりリアルで迫真性のある映像を撮影することができるかもしれませんが、こうしたプライバシー侵害の問題にも配慮する必要があります」

報道利用で想定されるのは、噴火や洪水など、人による取材が困難となる危険な自然災害が主に考えられる。しかし、その対象が人や街中にも広がっていけば、プライバシー問題という難題が立ちはだかることになりそうだ。

伊藤 雅浩(いとう・まさひろ)弁護士
工学修士(情報工学専攻)。アクセンチュア等の約8年間コンサルティング会社勤務を経て2008年弁護士登録。システム開発、ネットサービス等のIT関連法務を主に取り扱っている。経済産業省「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」研究会メンバー。
事務所名:弁護士法人内田・鮫島法律事務所

 

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