「朝ドラ」登場でお祭り状態"目黒蓮"真の評価 なぜ今、多くの人が"彼"にハマっているのか

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話は若干ずれるが、『教場Ⅱ』は警察官を目指す若者が、木村拓哉演じる鬼教官・風間の厳しい指導のもと訓練を積み成長していく物語で、目黒も福原も姿勢よくキビキビと訓練に励んでいる。『舞いあがれ!』航空編とは、もしや『教場Ⅱ』のライト版のようになるのではないだろうか、これから舞たちが帯広校でフライト課程に進んだときに担当となる吉川晃司演じる渋い教官は鬼教官なのでは……と妄想が膨らむ。

そうはいっても朝ドラでは『教場Ⅱ』のようなヘビーな話は描けないだろうけれど。だからこそ、舞が慣れない寮生活や個性豊かなチームメイトたちに振り回されながらあたふたしているような描写になっているのだろう。

話を目黒蓮に戻そう。12月2日公開の映画『月の満ち欠け』(廣木隆一監督)ではまた想とも柏木とも違う役を演じている。同作は直木賞受賞小説を映画化したもので、目黒が演じるのは、瑠璃(有村架純)というミステリアスな女性を愛する人物・三角(みすみ)。

生まれ変わりというちょっと不思議な事象が描かれている話で、瑠璃がある人物の生まれ変わりではないかと思った三角は、彼女と深い関わりのある小山内(大泉洋)に会いに行く。このときの小山内と三角が対峙する場面が実にいい。生まれ変わりという現実離れした事柄を前にしても、ふたりはとても真剣だ。その真剣さの芯にあるものは、人を愛するということなのだと感じる。

“湿度”を感じる発声が素晴らしい

『月の満ち欠け』で筆者がもうひとつ注目したのは、三角と瑠璃が語り合うシーンだった。年上の瑠璃に惹かれて、恋の焔を燃やしていく三角。目黒の語り口がとても自然で、日常生活そのものに聞こえる。ドラマでも映画でも、どんなに自然に見せていても、やっぱりお芝居なので、俳優の声は観客や視聴者を意識したような、ある程度はっきりした声になりがちだ。

瑠璃役の有村はそれこそ輪郭のはっきりした声を出す俳優のひとりだが、その有村もこの映画ではいつもと声の出し方が少し違うのだ。年上の女性役だから有村がリードしているのかもしれないし、目黒の発声に有村が合わせたのかもしれないが、ふたりのやや潜めたような声に三角と瑠璃の関係の湿度を感じる。やま形の唇から漏れる声がむっくりとして聞き心地がいい。

さかのぼって、Snow Manとして主演した今春公開のコメディ映画『おそ松さん』(2022年)では、はっきりとしたトーンでしゃべっているので、目黒が作品や役に合わせて声の出し方を変えているのがわかる。『おそ松さん』では、いわゆるアイドル映画的な明瞭な芝居を鮮やかにやってのけているのだ。

こうして見ても、目黒蓮は伊藤アナの言うようにかなり多才である。ぜひとも『silent』のみならず『舞いあがれ!』も盛り上げていただきたい。

木俣 冬 コラムニスト

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きまた ふゆ / Fuyu Kimata

東京都生まれ。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。

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