ぱっと見ジミな「ねぎフェス」に見た意外な可能性 星野リゾートが那須で手がけることの意味

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広大な農地が広がるアグリガーデンエリア(写真:リゾナーレ那須提供)

「ねぎフェス」責任者の高橋直也さんはこう語る。

「企画の出発点は、アグリツーリズモリゾートを体感できる新しいアクティビティーの開発でした。11月の1カ月間、毎日開催できる内容ということで選んだのがネギだったんです」

アグリツーリズモリゾートとは、星野リゾートが提唱する新しい旅の楽しみ方だ。「都会の喧騒から離れ、その土地の農体験や自然体験、文化交流を愉しむ観光の形」と定義している。

これを体感できる施設が、2019年に開業したリゾナーレ那須だというわけだ。総面積約14ヘクタールの敷地内には、水田、畑、温室が整備され、1年365日、老若男女問わずにリゾート気分で農作業を体験できる。

ネギが候補になった経緯

広大な農地が広がる(写真:筆者撮影)

それぞれの面積は、水田がサッカーコート1面よりも広く、畑がバスケットボールコートほぼ3面分、温室はバレーボールコートほぼ2面分と、ホテルの敷地内だとは信じられない規模。

畑と温室については、環境に負荷をかけない有機の農法を徹底するこだわりようだ。それも農場専属の作業員はおらず、ホテルスタッフのみでこれだけの規模の農場を管理運営しているのである。

ちょうどこの時期は、約45リットルの麻袋いっぱいに敷地内の落ち葉を集めるアクティビティーが子どもたちに人気。集めた落ち葉と交換にサツマイモがもらえ、焚き火台で焼き芋を作れるからだ。

こうした中、子ども連れの家族と女性同士のお客向けのイベントでかつ、11月に使える地元の農作物としてネギが候補に挙がると、会議で盛り上がって一気に決まったのだという。

「『ねぎフェス』の語感がよかったことと、実際に田んぼでネギを焼いて食べてみたらとてもおいしく、これでいこうと。屋外で火を見ながら食べた焼きたてのネギは、旅のステキな思い出になるに違いないと考えました」

たしかに焼きたてのネギ丸一本に頬張りつくのは、初めての人には新鮮な驚きを提供できそうだ。だが、先述のとおり、各地で開催されるネギ祭りではよく行われている催しだ。

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