スラムダンクが今でも圧倒的に愛される納得の訳 新作映画公開間近、連載終了26年でも衰えない魅力

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7月18日配信の「『SPY×FAMILY』がここまで人気を呼ぶ納得の訳」でも書いたが、キャラクターの魅力は、期待に応えるほど高まる。

スラムダンクでは、個性的なメンバーが見事に自分の役割を全うしていると言えるが、それを具体的に見ていこう。

『SLAM DUNK』のキャラクターは主役級揃い

私は、キャラクターを「主体」「客体(主体の行為対象)」「敵対者」「協力者」「援助者」「犠牲者」「いたずら者(トリックスターと同義。味方になったり敵になったりする)」の7つに分類して考察している。スラムダンクにあてはめれば、下記のようになる。

「主体」桜木。いわゆる主人公。
「客体」晴子(ラブストーリー軸の対象)、赤木(バスケ軸の対象。全国に連れていってあげたい)
「敵対者」流川(ライバル)→インターハイが始まってからは相手高校の面々
「協力者」木暮、元々の不良仲間たち(精神的な支え)
「援助者」安西先生
「犠牲者」(怪我した時の赤木)
「いたずら者」三井(敵対者からの協力へのスライド)

キャラクターの魅力が「期待に応えるほど高まる」というのは、つまり敵対者は主体に対して、大きな壁になればなるほどキャラクターとしての魅力が高まるということだ。同様に協力者であれば、協力すればするほどキャラクターの魅力が高まる。

キャラクターの魅力というと、見た目の容姿や能力の高さなどで決まると思いがちだが、大切なのは物語の中でどのような役割を果たしたかだ。あるいは、その役割をどれほど貫き通しているかにもよる。だからこそ、能力や容姿が優れているわけではないキャラクター、あるいは敵対者に対しても、時に魅力を感じたり、感動したりすることがあるのだ。

スラムダンクは主体である桜木が、次々と現れるライバル(敵対者)にどう立ち向かっていくのかが毎話の見どころだ。たいていは、ライバル(敵対者)として出てきてぶつかり合い、桜木は追いついていく。個性と才能を持った「敵対者(ライバル)」が次々と登場することがスラムダンクの魅力を支えていると言えるだろう。

2021年12月25日配信の「煉獄さんにやたらと魅力を感じてしまう納得の訳」で解説した『鬼滅の刃』の煉獄さんに代表されるように「援助者」が作品全体の特徴と言える。『SPYxFAMILY』で言えば、アーニャに代表される「いたずら者」(のもつ二面性)がその物語の魅力を象徴している。それがスラムダンクの場合は「敵対者」なのだ。

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