牛の「ゲップ」で地球の気温が上がる"衝撃事実" 世界各地で広がる「地球温暖化」ビジネスの今

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本当に危険な実験なのだろうか。その実、リスクも伴うという。「終端ショック」などと呼ばれるもので、もし途中で作業をやめてしまうと、急激に気温が上がってしまう可能性があるという。

ただ一方で、方法次第では悪影響を減らすことができるともいわれ、ハーバード大のフランク・コイチュ教授は、「この研究をしないリスクのほうが、研究をやるリスクを大きく上回る」と断言している。

やってダメだったらどうするんだと言う反対派、やってみなくちゃわからないよと言う推進派、どちらにも分がありそうである。ちなみにアメリカ政府は気候工学の研究に多額の予算をつけ、積極的に後押しすると発表している。

でももう少し安全な方法はないのだろうか。雲に目を付けた研究がある。雲の中でもとりわけ太陽光を跳ね返す、白くて大きな雲を人工的に作ろうというものである。

材料はいたってナチュラルで、船の上から雲に向かって海水を吹きかける。そうすることで舞い上がった塩の粒子が雲の核となり、密度の濃い白く輝く雲を作ることができるのである。

まさに「雲のホワイトニング」である。すでに何度か実験が行われていて、豪州グレートバリアリーフなどでは、サンゴ礁の白化現象を和らげるといううれしい副作用も期待できるという。

世界初の牛の「ゲップ税」

こうして人類は知恵を絞り、最先端技術を使った奇策をひねり出し、地球の将来を考えている。しかし、道徳面や資金面での課題は多い。そこで動物たちに手を貸してもらおうという牧歌的な戦略も企てている。協力を仰ぐのは、温厚従順な牛たちである。

牛のゲップは温暖化の犯人の一味として、やり玉に挙げられることが多い。牛は4つの胃を持ち、食べ物が口と胃の間を行ったり来たりするうちに、微生物がエサを分解しメタンを発生させる。

メタンは、二酸化炭素の25倍以上の温室効果を持ち、家畜が出すメタンの総量は、世界で出される温室効果ガスの4%も占めるそうである。

そのゲップを野放しにしてはならないと、ニュージーランドは世界に先立ち「牛のゲップ税」の導入を本気で検討している。2025年から牛のゲップ量に応じて税金を納めることになるかもしれないという。

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