牛の「ゲップ」で地球の気温が上がる"衝撃事実" 世界各地で広がる「地球温暖化」ビジネスの今

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こうした不要なものは飲んでしまおうという潔い試みのほか、二酸化炭素を世界一美しいものに変えてしまおうという企業もある。宝石会社のイーサー・ダイヤモンズ社は、スイスのごみ焼却場から出た二酸化炭素を見事な人工ダイヤモンドに変身させている。人々を虜にする金剛石も、元をたどれば炭素である。

いったい、いくらで買えるのか。同社のホームページをのぞいてみると、1カラットの婚約指輪で6000ドル(現レートで約85万円)以上する。思ったより高額な印象だが、このダイヤモンドは二酸化炭素をリサイクルするという意味合いだけではなく、過重労働や自然破壊など、ダイヤモンドの採掘から販売に至るまでの数多くの問題を解決する一手にもなるという。

強いていえば、CO2からできた宝石をもらった人のリアクションが気になるところだが、いまはやりのSDGsを地で行っているアイデアといえるだろう。

ビル・ゲイツが注力する「成層圏エアロゾル注入法」

次に、気候工学には太陽光を遮る方法がある。中でも注目されているのが、飛行機やバルーンなどを使って上空に微粒子を撒いて、太陽光を反射させる「成層圏エアロゾル注入法」である。

着想の元となったのは、大規模な火山噴火である。火山灰や噴煙が高度20キロ以上の「成層圏」に達すると、空中に漂った微粒子(エアロゾル)が太陽光を遮り地球の平均気温を下げる。実際、1991年にフィリピンのピナツボ火山が噴火したときは地球の気温が0.5℃下がり、それが「平成の米騒動」につながったという説もある。

このエアロゾル注入法を現実のものにしようと働きかけている1人が、ビル・ゲイツ氏である。母校ハーバード大学が指揮監督するプロジェクトに、多額の資金を援助している。

2021年6月には、スウェーデンでその前段階としての実験が行われようとしていた。ところが寸前で先住民や環境保護団体から待ったがかかり、計画は頓挫、延期を余儀なくされた。

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