就職のために資格は取っておくべきなのか 資格があなたを縛り付けてしまう場合も

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実はS.Kさんからのご相談を拝見し、最初に思ったことは「資格なんていらないし、仕事を理解しない上での自己分析なんて、後付けがほとんどであまり意味がない。でも好奇心をベースとした行動だけは失っちゃダメだよ」ということです。もちろんそれだけではないのですが、学生のうちにいろいろな分野の勉強をして「自分の興味の矛先を探ってみることで社会に出る準備をする」というのが大学生活の一面なのかもしれません。

表面的な勉強だけでなく、深く追求することで、リアルに自分にとっての向き不向きが見えてくるものです。そう考えると、たとえば資格取得に合格はしなかったとしても、勉強した過程で「自分にとっての喜びは何か」がわかったのであれば、それは成功につながる道がみつかったと言えます。

S.Kさんは「目指されていた道は試験に落ちたので方針転換した」ということですが、正直に言えばその程度の覚悟ならば、その道に進まなくてよかったのかもしれません。本当にしたいのであればいろいろとその分野に携わる方法を考え、短期的でなく長期的目線で遠回りをしてでも食らいつくはずですから。

また、仮にその道が第1志望であったとしても、ほかの選択肢もまじめに検討すべきだと思います。「自己分析が足りない」と言われた背景はわかりませんが、もしかしたら「物事をリアルに知るための行動が足りない」ということなのかもしれません。

何も行動せず、頭だけで「向き不向き」を考える自己分析は不要です。それに対し、実際の経験や深い勉強等に基づく「仕事という観点で自己を理解する」ことは重要です。繰り返しますが、選択肢を若いうちからひとつに絞る必要はないので、ぜひご自身にとってのリアルな可能性の探究を始めましょう。

今からでも遅くはない

ただし、心配無用です。スタートはいつだって遅くはありません。今から行動に移して、仕事や勉強を通じて自分自身を知るというプロセスを開始すればよいのです。

先ほど仕事ができる人、キャリアを切り開いている人は受け身ではなく、能動的にキャリアを選択してきた、と申し上げました。理想の仕事は、待っていれば誰かが与えてくれるものではありません。自分自身がアクティブに動く必要があるのです。

逆に言えば「知りたい」というS.Kさんの信条がすでに行動を伴っていればまったく心配をする必要はありません。

最後に。自分の軸がない中でいろいろな周りのアドバイスを聞いてしまうと、自分自身の価値や判断の基準がブレますので、周囲のアドバイスは参考程度に聞くようにし、その上で「結局は自分のリアルな経験に基づいた自分自身の判断力を養うことが大切なのだ」ということをつねに念頭に置きましょう。

最初からすべてがうまくいくことなんて、そうはありません。試行錯誤を繰り返しつつも、自分の足で歩んでいくのが大人の人生です。S.Kさんが、もがきつつも成長される姿を楽しみにしております。

※安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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