2組はほぼ新人「紅白」K-POP勢が突如躍進した背景 ガールズグループ3組それぞれの魅力に迫る

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メンバー構成で脚光を浴びたといえば、2022年5月に活動を開始した5人組・LE SSERAFIMも同様である。こちらも元IZ*ONEのメンバー2人が在籍しており、うち1人は日本でも有名なSAKURA(宮脇咲良)ということで、結成が発表されたときから熱い視線が注がれていた。

彼女たちもビジュアル・技術面ともに非の打ちどころがない。IVEとの違いは、よりクールにスタイリッシュに攻めている点だろうか。デビューヒットとなった「FEARLESS」(2022年)ではウィスパーボイスとダイナミックなダンスで、続く「ANTIFRAGILE」ではエキゾチックなアレンジと中毒性の高いフレーズによって、オンリーワンのオーラを放っている。

ちなみにこのグループの本格的な日本進出はこれからだ。紅白のステージでどんな姿を見せてくれるのか、現段階では予想がつかない。それゆえにほかの2組以上にファンおよび音楽関係者の注目度は高い。

「一糸乱れぬダンス」が美しいという共通点

TWICE、IVE、LE SSERAFIM。3組の共通点は、日本人メンバーがいることと(TWICEには3人、IVEには1人、LE SSERAFIMには2人)、韓国で「刀群舞(カルグンム)」と呼ばれる一糸乱れぬダンスの美しさである。実はこれが日本で広く受け入れられていく過程で欠かせない要素であり、紅白の制作サイドが目をつけた点だと思われる。

日本では現在、小学生から中学2年生まで、体育の授業で「ダンス」が必修になっている。取り上げるジャンルは幅広く、J-POPやロック、ヒップホップなどの大衆音楽も含まれているという。

このような状況下で育った世代にとって、踊りの完成度の高さで知られるK-POPは特に人気があり、なかでも日本人メンバーを含むグループに親近感がわくのは当然かもしれない。3組の出場はひとえに“若者のニーズ”を意識したためだったのだ。

紅白でK-POP旋風が吹き荒れたのは今回が初めてではない。第62回(2011年)には少女時代、KARA、東方神起の3組が出場し、おおいに盛り上がっている。当時も支持層の中心は若者だったが、韓流ドラマ好きの両親がきっかけだったり、日本のダンスミュージックの流れから聴きだしたりと、途中からK-POPにはまった人がほとんどだった。それゆえに次の人気アーティストが出てこなくなるとブームは去ってしまった。

だが、今は違う。物心ついたときからK-POPに慣れ親しんできた世代にとって、同ジャンルを聴くことは当たり前の行為であり、日常なのだ。そんなことを頭の片隅に置いておくと、紅白におけるK-POP勢の躍進も理解できると思う。さらにいえば、TWICE、IVE、LE SSERAFIMの音楽を機に、韓国の文化や人々にもっと興味を持ってくれると嬉しい限りである。

まつもとたくお 音楽ライター、K-POP番長

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Takuo Matsumoto

音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。『ミュージック・マガジン』など専門誌を中心に寄稿。『ジャズ批評』『韓流ぴあ』で連載中。最新の著書は『K-POPはいつも壁をのりこえてきたし、名曲がわたしたちに力をくれた』。

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