「大学全入時代」高校生を悩ます大学に行く意味 選ばなければ誰でも大学に行ける時代に入る

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大学に行ったからといってその後の人生で有利に働くかというと、あまりそんなことはなく、せいぜい就職なんかの入り口段階、イコール面接にこぎつける可能性が高まる、という程度のものです。

これは事実として大卒のほうが、職業選択上の自由度が高まるということはありえます。

そして同じ大学でも、レベルが高いとされる大学卒業生のほうが、そのほかの学校卒業生よりも選択肢が広がるということも事実です。

私は以前拙著『「学歴なんて関係ない」はやっぱり正しい』(草思社)にてこのことを「ドアノック効果」と名付けましたが、まさに就職の入り口たる面接にこぎつける、つまり入るためのドアをノックできるか否かの違いです。

このドアノックをできる権利は大学卒業生のほうが、そしてより高いレベルの大学を出ていたほうが、書類選考に通りやすいという意味において、その効果が期待できる、というものです。

あくまでも「入り口を突破できる」ということ

ただ勘違いしてほしくないのは、あくまでも「期待できる」という程度のものであり、保証でもありませんし、絶対でもありません。

そしてあくまでも入り口を突破できる、というところまでですから、その後の面接やらなにやらを突破できるか否かは当然別問題です。

つまりそれはあくまでも入り口の段階での話だけであり、その後の仕事上での活躍の話や、まして人生において大学を卒業しているほうが有利などということはありません。

ですから、人生において何かを有利にするために大学に行ったり、「とりあえず大学だけは行っとこう」みたいなノリで行ってもまったく意味はありません。

行くとすれば、行く目的を明確にしたほうがよいのです。

人生において進むべき道の探求なのか、ドアノック効果が欲しいのか、勉強したい分野が明確でありそのために行くのか、などなど。

さまざまあるとは思いますが、「漠然と行く」のではなく「目的をもって行く」ということが大切です。

この目的意識があるか否かが、卒業後の進路をわけると言っても過言ではありません。

大学はある程度自由が利きますし、高校までのように毎日のカリキュラムを誰かが勝手に決めてくれるわけではなく、ある程度の選択の裁量が自分にあったりしますから、同じ大学卒業でもその場における学びや成長は自分次第、ということになります。

これを大学に行くヒトの視点で捉えると、「いかに周りと差別化を図るか」が大切、ということです。

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