高速道路のICT化がもたらす未来と実用化の障壁 NEXCO東日本・中日本が実用化を目指す最新技術

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光ファイバセンシング
光ファイバセンシングの概要(筆者撮影)

ほかにも同社では、すでに高速道路全線に敷設している光ファイバーをセンサーとして使う新技術「光ファイバセンシング」も開発中だ。同技術では、光ファイバーにより振動や音、温度の強弱などを測定し、例えば、通行車両が速度低下している区間を検知し、渋滞などの発生をよりスピーディに把握する効果を生む。新規にセンサーや計測器を全線設置するよりも、すでに導入済みの光ファイバーを活用するほうが、コストが安価となるし、実用化の時間短縮にもつながるのだという。

NEXCO東日本の取り組み

ロータリー除雪車自動化
準天頂衛星システム「みちびき」を活用したロータリー除雪車自動化の開発に関する概要説明(筆者撮影)

一方、東日本地域の高速道路を管轄するNEXCO東日本でも、ICT化などによる高度な高速道路の管理・運用などを目指している。将来的な自動運転車へのサービス提供など、同社は31項目の重点プロジェクトを掲げているが、その中のひとつが「除雪車の自動運転化」だ。展示会では、ビデオの映像などにより、同社の北海道支社が中心となって進めているロータリー除雪車の自動化を含む、‪雪氷対策高度化システム‬「ASNOS(アスノス)」について紹介した。

これは、‪準天頂衛星システム「みちびき」‬からの信号と、あらかじめ作成した高精度地図情報を組み合わせることで、正確な自車位置を特定し、除雪車を自律走行させるというものだ。同時に切り崩した雪を路外へ飛ばすシューターと呼ばれる除雪装置操作の自動化も目指す。

作業ガイダンスシステム
ロータリー除雪車に取り付けられた作業ガイダンスシステム(筆者撮影)

同社ブース担当者によれば、ASNOSの開発には、「高齢化による労働人口の減少」が背景にあるという。除雪車の作業は、‪視界不良や夜間などのきびしい作業環境下‬で行われることも多く、「‪熟練オペレーターによる高度な技術と経験‬が必須」だそうだ。また、除雪区間には、ガードレールや非常電話などの設備が雪で覆われてしまい、まったく目視できない箇所も多い。

オペレーターは、「それら設備も避けながら、除雪車を安全に運行させなければならない」そうで、経験の浅いオペレーターでは、なかなかむずしいというのが現状だという。一方、近年は、前述のとおり、高齢化で‪熟練オペレーター‬が不足しており、「若い世代など、未熟練オペレーターへの‪技術伝承も困難な状況‬」になっている。そこで、ASNOSを開発することで、‪非熟練オペレーターでも安全・確実に作業ができる環境を構築‬することが目的なのだ。

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