アマゾン「一番の稼ぎ時」に1万人も解雇する事情 業績の伸びが20年ぶりに大幅に鈍化している
ビジネスモデルの変化と不安定な経済状況は、ハイテク業界全体に人員削減の嵐を引き起こしている。イーロン・マスク氏は今月、ツイッターを買収した後、同社の従業員数を半減させ、先週はフェイスブックとインスタグラムの親会社であるメタが、従業員の約13%にあたる1万1000人をレイオフすることを発表した。リフト、ストライプ、スナップなどのハイテク企業もここ数カ月で従業員を解雇している。
アマゾンの広報担当者であるブラッド・グラッサー氏は、コメントを拒否した。
コロナ禍で従業員を2倍に増やした
コロナ禍では、消費者がオンラインショッピングに、企業がクラウドコンピューティングサービスに殺到し、アマゾンにとって同社史上最も収益性の高い時代となった。アマゾンは2年間で従業員を2倍に増やし、その利益を事業拡大や、「次の大きなもの」を見つけるための実験につぎ込んだ。
だが今年初め、パンデミックという「鞭(むち)効果」が切れると、アマゾンの成長は過去20年間で最低の速度に減速。同社は、過剰投資と急拡大の決断による高コストに直面し、ショッピング習慣の変化と、高インフレが売り上げを押し下げたのである。
アマゾンは足元の第四半期半期にわずかな回復を経験した。しかし、同社は投資家に対し、成長率が再び弱まり、2001年以来最低のペースになる可能性があると警告している。
アマゾンはアナリストらに対し、過去にベルトを締めたことがあり、今回もそうすることが可能であると述べている。アマゾンはドットコム・クラッシュ時の2001年に時間給従業員を含む1500人を削減したが、これは当時の従業員の15%に相当する。また、2018年初めにも急拡大の時期を経て、数百人の従業員を削減している。
先週、アマゾンの幹部は機関投資家と会合を持ったが、この件に詳しい3人によると、ちょうど同社の株価がコロナ禍初期以来の最低水準に沈み、昨年アンディ・ジャシー氏がCEOに就任してから1兆ドルの価値が吹っ飛んだ。