ボルボ初の完全電動「EX90」は姿も機能も規格外だ 安全性は最高峰、全てに渡り独自性を打ち出した

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ボルボ「EX90」
メインライト点灯時はピクセルライトが上下に隠れていき中央のヘッドランプが現れる光学的な演出(写真:Volvo Cars)

ユニークな特徴は、フロントマスクだ。あえて、内燃機関につきもののラジエターグリルを廃することで電気自動車のイメージを強調。ヘッドランプもLEDで構成されたマトリックスタイプ。

近年のボルボ車に共通する、「トール(神が持つ)ハマー」型は継承されているが、コンセプトは斬新だ。メインのヘッドランプが点灯するときは、2段のマトリックスライトが上下に消えていき、奥からヘッドランプが現れるといった、ユニークなイメージ(光学的な印象)を作っている。ペイジ氏はこれを「目を開ける」と表現。

内装面では、ボルボがつねに大事にしてきた「スカンジナビアデザイン」(カラー&マトリクス担当シニアデザインマネージャー、セシリア・スターク氏)を活かしている。基本的なコンセプトは、従来の継承だ。

動物由来の素材を追放し、新開発の合成皮革を使用

北欧の光のような淡い色を使った内装色を、シート地やドアの内張りに使い、ウッドパネルもドリフトウッドといって海岸に漂着した木のイメージでテカりを抑えている。

加えて今回から動物由来の素材を追放。ウール混紡のファブリックや、新開発の合成皮革を使う。感触や見た目は、じゅうぶん、快適で、ぜいたくとすら言える。家具やファッションの流れに呼応するものだ。

室内照明も、考えかたはボルボらしいというか、他社とちがう。ドアの内側のパネルを透かして照明がほんのり灯る。赤や青や緑を使うドイツ車とは完璧に一線を画している。

「ボルボの規模の会社が生き残っていくには、大きな競合と真っ正面から向き合っていてはむずかしい。この会社の独自性が、すべてにわたって求められているのです」。前出のスターク氏はそう解説してくれた。

EX90の生産は北米と中国で。北米で生産が始まるのは2023年からで、欧州での発売は早くても同年の後半という。日本での発売はそのあとで、現時点では「未定」(日本法人の広報担当者)だそうだ。

小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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