上場控える日本郵政、賃上げ受け入れの是非 春闘交渉の結果は復興財源の額も左右
今年秋に予定されている日本郵政グループの株式上場。その成功という重責を担う主幹事証券各社は今、かたずをのんで日本郵政グループの春闘の行方を見守っているに違いない。
今春闘は、安倍政権が「経済の好循環」促進に向けて経済界に賃上げを要請した経緯もあり、好業績企業を中心に賃上げラッシュとなりそうだ。そうした中で、日本郵政グループの労働組合も、経営側に対し「ベア2%、一時金(ボーナス)年間4.3カ月」を要求している。
日本郵便は最終赤字260億円の見通し
2014年の春闘では、一時金は13年比0.2カ月分増額され、3.5カ月で決着した。今回、一時金は昨年実績を上回る14年比0.8カ月分の増額要求となっている。
勤労者は値上がり品目が拡大している中で収入増に期待している。日本郵政グループの社員も思いは同じだろう。だが、同グループにはそうした一般論とは別次元の問題がある。民営化のための大きな一歩となる、株式上場への挑戦である。
その成功のカギを握るのは収益力と成長ビジョンだ。だが、同社で最大人員を擁する子会社の日本郵便は、15年3月期決算の最終損益が260億円の赤字見通しとなっている。
ほかの子会社であるゆうちょ銀行、かんぽ生命保険がそれぞれ3500億円、730億円の最終黒字見通しのため、グループ全体としては4200億円の黒字が見込まれる。とはいえ、主要子会社の一つである日本郵便の収益状況は、日本郵政グループの株式上場にとってネガティブ要因となる。そうした状況下での賃上げ要求なのだ。
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