日本郵政が秋に上場、ガバナンスに課題あり 民業圧迫、市場原理への対応など問題山積み

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西室泰三・日本郵政社長は株式上場について「アベノミクスによる規制改革の方向性の例証となる」と語った(撮影:今井康一)

今年、「郵政民営化」が大きな節目を迎える。秋にも、日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険のグループ3社の株式上場が実現。政府保有の株式が市場に売り出され、日本郵政グループは民間企業としての第一歩を踏み出すことになる。

「アベノミクスによる規制改革の方向性の例証となる。歴史ある郵政事業の民営化を具体的に開始した、といえる状況になったという点が、これまでとは違う」

2014年12月26日、上場計画発表の記者会見で、西室泰三・日本郵政社長は上場作業をようやく具体化させる意義をこう力説した。

親子上場が問題視される

それも無理はない。2007年に郵政民営化法が成立し、民営化の方向性が築かれたものの、その後は幾多の紆余曲折があった。日本郵政のトップも度々入れ替わり、2007年に日本郵政公社が株式会社に移行した後だけでも、西川善文氏、斎藤次郎氏、そして、西室氏と3人が社長に就いている。背景には政治問題化しやすい日本郵政グループの複雑な事情があったといえる。

上場計画における最大のポイントは、純粋持ち株会社である日本郵政と、その完全子会社である金融2社が同時上場を目指す、いわゆる“親子上場”だ。一般的に親子上場は、利益相反などが問題視されがちである。一方、郵政民営化法では、政府保有の日本郵政株式と、日本郵政が保有する金融2社の株式の売り出し・上場が定められており、親子上場自体はあらかじめ想定されていた。

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