中国のアパレルEC「SHEIN」日本で爆売れの"ナゾ" 東京・原宿に「常設ショールーム」を出店する
昨年夏に本格進出した日本市場は、「客単価が高くて品質に厳しい」「独特の消費習慣を持ち消費者の信頼を得るまでに時間がかかる」(中国メディア)ことから、苦戦するとの見方が多かったが、前述したように早い段階で人気に火がついた。
10月22日には大阪・心斎橋に期間限定のポップアップストアをオープンし、毎日行列ができているという。原宿のショールームは商品を購入することはできないが、今の盛り上がりを見ると女性客が殺到すると予想できる。
「プチプラ」「高見え」で日本でも受け入れられた
中国人ウォッチャーたちは、日本での人気ぶりに驚きを隠せないが、長いデフレを経て「プチプラ」「高見え」がファッションのキーワードになっている日本では、SHEINが抵抗なく受け入れられたということだろう。
また、同ブランドは中国ではサービスを提供しておらず、今年初めには運営会社をシンガポールに移転したため、購入している消費者の大半はSHEINが中国ルーツだと知らない。先にアメリカで成功したため、SHEINが「グローバルブランド」を名乗ることにも違和感はない。
さらに同社がこれまで取材に対応しておらず、「謎の企業」として扱われていることも、注目を高める装置になっている。本社が地方都市の南京にあり、最初から欧米圏をターゲットにしていたことから、米中双方のメディアに気づかれないまま巨大化したというのが実態だろう。
Z世代をターゲットにする中国新興企業が宣伝広告費をデジタル周りに集中し、ターゲット顧客に届きにくいマスメディアに対応しないというのも、さほど珍しくない。
だが、日本のマスメディアは、「Z世代に人気の謎の企業」の響きに魅力を感じ、連日テレビ番組などで取り上げている。それがまた同ブランドの認知度を高め、中高年層にも客層を広げるきっかけになっている。
知名度が上がるにつれ、SHEINにはさまざまな疑念、批判も寄せられている。代表的なのは、「大量生産・大量消費のビジネスモデルはサステナブルの潮流に逆行している」というものだ。中国産であるため強制労働が疑われる新疆綿を使っている可能性も指摘され、デザイン盗用に関しては実際に複数の訴訟を起こされている。
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