中国のアパレルEC「SHEIN」日本で爆売れの"ナゾ" 東京・原宿に「常設ショールーム」を出店する
「Z世代御用達のブランド」とも言われるが、愛用者の世代は広い。今年の夏からSHEINを愛用するようになった50代の会社員女性は、「安いから、失敗しても痛くない」と定期的にアプリを開いて目についた服を買っているという。
アプリを閉じてもSHEINは消費者を追いかけてくる。普段使っているGmail、インスタグラム、Twitterとあらゆる空間にこれでもかというほどSHEINの広告が現れ、意識に入り込む。SHEINの強みの1つが「卓越したデジタルマーケティング」だと言われるゆえんだ。
SHEINの運営会社は2008年に中国・南京市で設立された。今年38歳になる創業者の許仰天(クリス・シュー)氏は貧困家庭の出身で、働きながら高校、大学を卒業し、検索最適化を支援するIT企業に就職した。
そこでメードインチャイナのウェディングドレスがアメリカでは数倍の価格で売られているのを知り、「中国で生産したアパレルを、中国の価格でアメリカに展開する」アイデアを思いついたとされる。
数年間の試行錯誤を経て欧米向けアパレルECというビジネスモデルを明確にした同社は2013年にイギリスの同業を買収し、資金調達を重ねて事業を拡大していく。2017年ごろにはユニコーン(評価額10億ドルを超える未上場企業)に成長していたが、アパレル業界、あるいは経済界の「寵児」となったのはコロナ禍以降だ。
試着せずにECで服を買うニーズにマッチ
試着せずにECで服を買う消費者が激増したことで成長が加速し、2021年5月、アメリカで最もダウンロードされたショッピングアプリとしてAmazonを抜いてトップに立った。
アメリカのメディアで「中国発の謎の企業」と脚光を浴びるようになると、同社がサプライチェーンを縫製工場がひしめく広州市に集約し、1日に1000点の新商品を投入できる体制を構築していることや、インスタが流行する前の2011年からデジタルマーケティングに注力していること、SHEINの愛用者に商品を無料で提供しSNSで宣伝してもらう手法を取っていることなど、強さの秘密が分析されるようになった。
同社の今年上半期のGMVは前年同期比50%増の160億ドル(約2兆3300億円)に達し、ZARAとH&Mを抜いたとも報じられた。
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