東洋経済オンラインとは
ビジネス #新幹線は街をどう変えるのか

新幹線・八戸、「最もみすぼらしい駅」からの大変貌 延伸開業20年、得た物あれば失った物も大きい

9分で読める
  • 櫛引 素夫 青森大学教授、地域ジャーナリスト、専門地域調査士
2/5 PAGES
3/5 PAGES
4/5 PAGES
5/5 PAGES

そのプロセスはまちづくりにも現れている。中心市街地にどう人を集め、市民の暮らしや活動と観光をリンクさせるか模索した結果、2011年2月に「八戸ポータルミュージアム・はっち」が誕生した。市民活動の拠点機能を兼ね備える「地域観光交流施設」だ。

「はっち」の機能は好意的に受け止められた。2016年10月にはほぼ隣接して、全国でも珍しい、市が運営する書店「八戸ブックセンター」がオープンした。市が進める「本のまち八戸」の拠点だ。この施策は2024年春に北陸新幹線開業を控える福井県敦賀市にも採り入れられた。

さらに2018年7月、「八戸まちなか広場」を名乗る「マチニワ」が、「はっち」と八戸ブックセンターの間に開設された。2021年11月には、やはり中心市街地にあった八戸市美術館が改装、開館した。

これらの投資には異論もある。だが、塚原氏は「中心市街地はまちづくりのためにある」と意義を強調する。中心市街地を整備することが目的ではなく、まちづくりを進めるための手段・装置が中心市街地であり、施設群だ……というわけだ。

止まらぬ人口減少、中心商店街にも危機

「新幹線開業の成功事例」と評される八戸だが、人口流出は止まらない。今年になって、中心市街地に2店あったデパートのうち1店が閉店した。その向かい側で個性的な映画の上映を続けてきた9スクリーンの映画館も、入居するビルの再開発に伴い、2023年1月早々に閉館する。中心市街地の曲がり角に市民は危機感を強める。

残念なのは、まちとして新幹線開業20周年を振り返り、総括する機能が半ば失われていることだ。開業記念のイベントの予定はあるが、新幹線開業がもたらした変化について語り合う催しはまだ見当たらない。

東北新幹線・八戸駅の20年

  • 2002年当時の八戸駅構内 工事中の新幹線八戸駅=2002年8月
    (筆者撮影)
  • 東北新幹線の八戸駅一番列車 八戸駅に入線する開業の一番列車
    =2002年12月(筆者撮影)
  • 現在の八戸駅と駅ビル 新幹線延伸開業20周年となる八戸駅(中央)と駅ビル
    =2022年10月(筆者撮影)
  • 八戸駅の駅ビル 新幹線開業20周年を迎える八戸駅(左)と駅ビル
    =2022年10月(筆者撮影)
  • 上から見た八戸駅前一帯 現在の八戸駅前一帯
    =2022年10月(筆者撮影)
  • 八食センター 観光名所として定着した八食センター
    =2022年10月(筆者撮影)
  • ”八戸駅改札口の看板 “市民の「顔」が見える”八戸駅改札口の看板
    =2022年10月(筆者撮影)
  • 八戸ポータルミュージアム付近 八戸市の中心市街地。中央が八戸ポータルミュージアム
    「はっち」=2022年10月(筆者撮影)
  • VISITはちのへの塚原理事長 VISITはちのへの塚原理事長
    =2022年10月(筆者撮影)
  • 八戸まちなか広場「マチニワ」 八戸まちなか広場「マチニワ」
    =2022年10月(筆者撮影)
  • 八戸ブックセンター 市が運営する「八戸ブックセンター」
    =2022年10月(筆者撮影)
1/
  • 2002年当時の八戸駅構内
  • 東北新幹線の八戸駅一番列車
  • 現在の八戸駅と駅ビル
  • 八戸駅の駅ビル
  • 上から見た八戸駅前一帯
  • 八食センター
  • ”八戸駅改札口の看板
  • 八戸ポータルミュージアム付近
  • VISITはちのへの塚原理事長
  • 八戸まちなか広場「マチニワ」
  • 八戸ブックセンター

20年以上にわたる街の変化をどう総括し、2031年に予定される札幌延伸にどう向き合うか。そして「開業30周年」へどう歩んでいくか。意見を交わすフォーラムを開けないかと考えている。

この連載の記事一覧はこちら

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象