鉄道写真家が振り返る「開業150年」の長い道のり 100周年行事の会場は今はなき「汐留駅」だった
1872年10月14日、新橋―横浜駅間に日本最初の鉄道が開業して「陸(おか)蒸機」と呼ばれた英国製の機関車が両駅間を53分で走った。明治初期、「文明開化」を迎えた日本が近代化に向けて大きく前進した画期的なできごとであった。
以来、日本の鉄道は路線網を延ばし、世界初の超高速鉄道を走らせるまでに至った。そして2022年10月14日、開業150年の節目を迎えた。祝賀ムードの中、日本の鉄道が歩んできた道のりを、画期的なできごとから負の部分まで含めてたどってみたい。
「鉄道100年」記念行事は汐留駅
1972年10月14日、国鉄汐留貨物駅において鉄道開業100年記念の式典が国鉄主催によって行われた。なぜ当時貨物駅だった汐留駅で鉄道100年記念行事が挙行されたかといえば、この貨物駅こそが鉄道創業時の「新橋駅」だったからである。筆者は写真家としてデビューした直後で、週刊誌の記事向けに記念式典を取材した。
創業時の新橋駅は、1914年に東京駅が開業して旅客機能が「烏森駅」(現在の新橋駅)に移動して以降、貨物のみの「汐留駅」として再スタートしたが、1986年に廃止となり駅としての使命を終え「汐留シオサイト」として大規模開発された。
開発工事に先立ち、1991年から汐留駅跡地の埋蔵文化財の発掘調査が始まり、1995年には旧新橋停車場の基礎、ホーム跡などの遺構が発見された。
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