鉄道写真家が振り返る「開業150年」の長い道のり 100周年行事の会場は今はなき「汐留駅」だった

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今も桜木町駅のところどころには鉄道開業当時の案内板や駅舎の大きな写真が展示してあり、鉄道開業時の横浜駅をしのぶことができる。1972年には改札口近くの駅前に記念碑が建てられ、1988年に駅前広場を整備するに当たって現在の高架下の小公園に移設された。高さ5.1mの三角柱の各面には、鉄道創業当時の横浜駅風景、鉄道列車出発時刻及賃金表、乗車心得、そして建碑の由来が刻まれている。

また桜木町駅に直結する商業施設「CIAL桜木町」には1872年の鉄道創業時に「10号機関車」として英国ヨークシャー・エンジン社で製造され、のちに「3号機関車」と呼ばれた日本で最も古い機関車の1つが原形に復元されて展示されている。

新幹線開業、そしてJR発足

鉄道創業期から鉄道100周年までの最大のできごとといえば、1964年の東海道新幹線開業が挙げられよう。それまで狭軌鉄道だった国鉄が標準軌採用の新線により、営業最高時速210kmという鉄道を実現し、世界最高速に一躍躍り出たのである。

東海道新幹線試運転
東海道新幹線の開業直前、米原付近を走る試運転列車=1964年(撮影:南正時)

その後の新幹線では、ミニ新幹線といわれる山形・秋田新幹線の開業、さらには最高時速270kmの300系「のぞみ」によって、宿願の東京―新大阪間2時間30分を達成したことが特筆される。この公式試乗会の列車には「新幹線生みの親」といわれ、またSLの名車D51形の設計者としても知られる島秀雄元国鉄技師長が招待されていたことも筆者には感慨深いものだった。

鉄道100周年以降の大きなできごととしては、1987年の国鉄分割民営化が挙げられる。赤字ローカル線の廃止や合理化が相次いだ国鉄の末期を経て、分割民営化により各地域にJR旅客6社が誕生。翌1988年には本州と北海道を結ぶ青函トンネル、四国と本州を結ぶ瀬戸大橋が開通し、直通列車の運転により鉄道の利便性や速達性が向上した。豪華寝台列車「北斗星」や「トワイライトエクスプレス」の運転開始も話題となった。

青函トンネル内の北斗星
青函トンネル内を走る「北斗星」。特別な許可を得てトンネル内で撮影した(撮影:南正時)

一方で、21世紀に入ってからは歴史ある夜行特急「さくら」「富士」などの名列車、長距離列車が次々と姿を消した。これは分割民営化の弊害といったところであろう。

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