ブラザー、英社買収1890億円は適正価格か 産業用印刷機メーカーに巨費を投じる狙い

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名古屋市内にあるブラザー工業の本社。今回、英社買収に1890億円を投じることを決めた

同社史上最高額、売上高の4分の1に匹敵する買収金額は、はたして正解なのか――。

ブラザー工業は3月11日、英国の産業用印刷機器メーカー、ドミノ・プリンティング・サイエンシズを買収すると発表した。すでにドミノ社の全取締役の賛同を得ており、今後は英国法の買収手続きにのっとって、同社株主の決議と英国裁判所の承認を得ていくという。

ドミノ社は1978年の創業。ペットボトルや医薬品の包装、金属や樹脂の部品などに賞味期限やロット番号、製造所記号などを印字する「コーディング・マーキング」という分野のほか、商品パッケージへのデジタル印刷などの機器・サービスを世界的に展開している。

2014年10月期の売上高は約3.5億ポンド(約640億円)、営業利益が約5600万ポンド(約102億円)。ドミノ社を傘下に加えることで、ブラザーは産業用印刷事業やデジタル印刷に進出。中長期目標として掲げる売上高1兆円に一歩近づくことになる(2015年3月期は7100億円見込み)。

発表翌日の株価は反落

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ドミノ社は部品などに番号を印字する「コーディング・マーキング」に強みを持つ

ただ、買収を発表した翌12日、ブラザーの株価は前日比5.7%減と反落。日経平均株価が約15年ぶりの高値を更新する中、東証1部銘柄では3番目の値下がり率となった。株式市場が厳しい評価を下した理由は買収価格だ。

買収総額は約10.3億ポンド(約1890億円)。資金は手元の現金と金融機関からの借り入れによって充当する。ブラザーは2016年3月期を最終年度とした中期計画の中で、成長戦略のM&A投資枠として1500億円を用意していたが、それを上回る大型投資となる。

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