リコーはなぜ「三愛水着」を今、手放すのか ワコールへの事業売却で70年の"蜜月"に幕
三愛といえば、水着ショップ「三愛水着楽園」や、山本梓さん、木下優樹菜さんといったアイドルを輩出した「三愛イメージガール」で有名な企業。そんな同社の看板である水着事業と下着事業が4月、下着メーカー大手のワコールホールディングスに売却されることになった。ワコールが1月22日に発表した。
このほかにも、大型小売店の三愛銀座本店を西銀座デパートに、婦人服事業を同業のアイリンに、それぞれ事業譲渡する。三愛の本社機能はワコールに吸収され、企業としての三愛に残るのはテナント運営している神戸の1店舗のみ。事実上の三愛売却になるが、その実質的な売り手となったのが複合機大手のリコーである。
水着の三愛とオフィス用事務機器のリコー、一見まったく接点がない2つの会社。だが両社の間には、実は長くて深い歴史があった。
三愛石油やコカ・ウエストも同根
その関わりは創業時までさかのぼる。1936年にリコーの前身である理研感光紙を創業した市村清氏が、終戦間もない1945年に設立したのが、現在の三愛にあたる三愛商事だ。社名の由来は、市村氏のモットーである「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」の「三愛主義」から来ている。
市村氏が興した会社は、ほかにも石油卸大手の三愛石油、日本コカ・コーラの西日本担当ボトラーであるコカ・コーラウエストなどがある。これらの企業群は「リコー三愛グループ」と呼ばれており、グループ全体の売上高は約3兆4000億円に上る。
日用品の販売から始まった三愛商事は、1948年に三愛に改組。その後、水着・婦人服へと転身して今の業容になった。その間、リコーの子会社ではないものの資本関係を持ち、歴代社長も多くがリコー出身という時代が続いた。
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