意外と知らない「精子の状態」調べる検査の実態 不妊のおおよそ5割は男性側にも原因がある

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ブライダルチェックでは次の4つの検査を行います。

①精液検査

精液の量や精子の濃度、形態、運動率、運動の質、精子DNA断片化率、精液酸化ストレスなど、精液を総合的な面から検討します。精液は、2日から7日の射精しない期間を設けた後に、用手法(マスターベーション)で全量を採取します。男性の精液性状は日に日に変動するため、仮に悪い結果が出た場合も、再度検査をして問題ないとされることもあります。

精液を採取する部屋

②泌尿器科的検査

不妊症に関連する病気の既往の有無、勃起や射精など、現在の性生活の状況の確認、また、精巣などの外陰部の診察、精巣サイズの測定、男性不妊症の原因で最も多い精索静脈瘤の有無などを触診で行います。

③血液検査

血液検査により、男性ホルモン(テストステロン)や卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)、プロラクチン(PRL)などの量を測定します。精巣の造精機能に異常があると、血中のテストステロンが低下し、FSHやLHが上昇します。FSH値に異常がある場合は造精機能障害、PRL値が高い場合は下垂体疾患の可能性があるとされています。

④性感染症検査

性感染症は不妊や胎児への障害をもたらす原因のひとつです。多くの性感染症は治療して完治するので、安心して将来の計画を立てるためにも検査を行います。HIV抗原/抗体、梅毒、ヘルペス、クラミジア、淋病のチェックを行います。ブライダルチェックは健康診断と同様に保険適用外なので、すべて自己負担となります。

一方、自治体によっては、結婚したカップルや事実婚のカップルに「不妊検査費助成金」を支給しているところもあります。料金は検査内容によって異なりますが、私が診療しているクリニックでは次のような料金になっています。

費用例

Dクリニック東京の場合、ブライダルチェック(検査+診察料)は5万8300円(税込)。 ※各種検査結果説明の料金を含む

クリニックの検査内容によって料金は異なるので、検査内容と料金をしっかりチェックしてから受診しましょう。

次ページ新しい検査「精子DNAの断片化率」「精液の酸化ストレス」
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