市場大変動のリスクに個人投資家はどう備えるか ヘッジファンドGCIの山内英貴CEOが現状を解説

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FRBのパウエル議長はインフレとの戦いで利上げの到達点がより高くなる可能性を示唆した(写真:Bloomberg)

アメリカでインフレ抑制のためFRB(連邦準備制度理事会)の大幅な利上げが続き、9月末にはイギリスでトラス前首相の財政政策に伴う混乱が生じるなど、金融市場はショックに敏感に反応するボラタイルな(変動しやすい)状況にある。FRBのパウエル議長は11月2日、金融市場に配慮した利上げの減速とそれによって到達金利はより高くなる可能性を示唆した。2023年に向けて個人投資家はどう備えればよいのか、日本のヘッジファンド運用会社であるGCIアセット・マネジメントのファウンダー(創業者)でCEOの山内英貴氏に話を聞いた。

GCIは日本のヘッジファンド運用の草分け的存在で、個人投資家向けにはエンダウメント(大学財団)型の投資戦略を活用した公募投信を設定している。山内氏はリーマンショックを予見した人物でもある。

当面は市場のボラタイルな状態が続く

――FRBが大幅な利上げを続け、QT(量的引き締め)を行う中、アメリカの長期金利が急上昇し、イギリスでは混乱もありました。まず、今の市場の全体像をどう見ていますか。

大きなフレームで見れば、先進国の低成長・低インフレを背景とする金利低下、景気拡張的な金融・財政政策は実に40年も続いてきた。これが今、高インフレ、高金利へ転換しているので、ボラティリティ(変動性)は当然高まる。

ベルリンの壁崩壊後は自由主義、市場経済へ東側の国も参加してグローバル化、情報革命による低インフレが定着し、政策的には成長志向でやってきた。いわば「平和の配当」を享受してきた形だ。

しかし、リーマンショックのころからグローバル化の弊害、成長志向のひずみが出てきて、国家間の格差、国内の格差も拡大する中で、政策的にはポピュリズムが広がり、ロシアや中国では独裁が強まった。しかし、これはひずみが大きくなったことの反動、調整局面であり、長いレンジではグローバル化が終わったとはみていない。長期ではグローバルな経済成長が続くことがメインシナリオだ。

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