「国民の命を守らない」韓国政府に迫る大ピンチ ソウル雑踏事故巡る責任問題が尹政権に飛び火
犠牲者だけではなく、安全管理や行政の対応もセウォル号事故を思い出させた。安全管理意識の欠如という共通点がある。セウォル号は、船の無理な増・改築や、基準を超える荷物を積載した状態で出港したことが原因で沈没した。今回の事故も13万人という大勢の人が集まることが予想されていたにもかかわらず、行政は安全対策を講じていなかった。結果的に、156人が命を落とす大惨事につながった。
セウォル号事故においては、当時の保守系朴槿恵(パク・クネ)政権が初期対応に失敗したことで国民から激しい批判を浴び、政権は一気に失速し、朴氏が史上初の大統領弾劾に追い込まれるきっかけとなった。
同じく保守系の尹錫悦政権はセウォル号事故の教訓があり、事故直後から緊急会議や大統領談話を発表するなど迅速な対応をアピールしている一方、大統領談話に謝罪の言葉がなかったことや尹錫悦大統領側近である長官や与党所属の首長による「責任逃れ」を思わせる発言が相次き、国民からの批判が高まっている。
与党内からも辞職など求める声が
こうした状況から、「セウォル号の記憶」が保守与党政治家の頭をよぎる。与党内部から「不適切な発言」「責任逃れではなく国民に謝罪すべき」「辞職すべき」など、批判の声が出る異例の事態が起こっている。政府高官から「責任逃れ」の発言が出るなど、尹政権内部の危機管理意識の欠如に与党が危機感を感じているからだと思われる。過去の経験から、大規模の惨事が政権を揺るがす事態は避けたいのだ。
警備や安全対策における不備が徐々に明らかになっている中、政府の対応に問題があったのかが明確になれば、その批判の矛先が尹政権になることは容易に予想できる。ただでさえ、事故責任を問う声の矛先がすでに政府や自治体に向かっている。
尹錫悦政権は支持率低迷に苦しんでいる。支持できないと答えた人の多くが「政権運用能力がない」と答えている。307人という死傷者がでた史上最悪の惨事に、尹政権がどう対応するのか、政権の能力が試されている。
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