57歳で急逝「青山真治監督」ゆかりの人が語る素顔 とよた真帆、宮崎あおいなどが素顔を明かす
とよた:(『月の砂漠』撮影の雰囲気について)青山組はシリアスでしたね。ピーンと張り詰めているというか。そういう感じがありました。
とよた:(企画について)ちょっとしたアイデアはたくさんあって。それを軽く言葉にはしない人でした。パソコンの中には企画書がたくさんあって。亡くなった後に、スタッフが今、それを形にしているところなんですが。いろいろ考えていたんだなと思って。だからわたしの知らない作品もありましたし、これは前に言っていたやつだな、というものもありました。
とよた:(自分が観察されていて。それが映画に使われたことは?)それについてはさわやかにハイ、と言いたいですね。結婚後からの作品は、これをこういう風に使った、ということが結構あって。世間ではそれまで青山は女性をあまり描いていなくて、『月の砂漠』で女性をやっと描いたと言われているそうですが、『サッド ヴァケイション』でもそういうことがありました。
わたしの姉、わたしの母、わたしとの関係性、いろんなことの断片を膨らませて、そのシーンに投影するとか。その役のスパイスに投影するとか。そういうことをなさっていたみたいですね。だからわたしは後で作品を観てガーンと気付くというか。心の中でチクショーと思うわけですが(笑)。
さらに「青山真治と結婚するということは、たとえ飲んだくれていたとしても何でも、彼のやることを面白がらないと。でないと青山との結婚生活はできなかった」と語るとよたは、その後も青山監督とのエピソードを笑いを交えながら明かす。終始、青山監督への慈愛に満ちた様子で語る彼女の姿に、聞き手を務めたPFFの荒木啓子ディレクターも思わず「青山さんはしあわせですね……」としみじみと語るほどに、多幸感あふれる時間となった。
青山監督作品の上映も
なお「第44 回ぴあフィルムフェスティバル」は東京に続き、11月19日~27日にかけて京都文化博物館でも開催予定。青山真治監督の作品は11月23日に『私立探偵濱マイク 名前のない森』の映画版ロングバージョンと、『赤ずきん』『路地へ 中上健次が残したフィルム』を上映。
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