「不倫体質の男女」似たもの同士再婚した2人の本音 自業自得も含め経験を重ねた2人だからこその選択

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美紀子さんの娘たちも母親似のあっけらかんとした性格らしい。マンションに遊びに来た修さんのことを「オサム、どうしたの? うちでゴハン食べる?」と呼び捨て。父親ではなく「ママの彼氏」として受け入れているようだ。修さんはそれも面白がっている。

ただし、修さんの娘のほうは父親の再婚をまだ認めたくはないようだ。相変わらず家事をすべて担ってくれる優しい父親への甘えもあるのだろう。美紀子さんの存在に触れようとはしない。

「娘さんにしたら複雑な気持ちになるのは当然だと思います。私、ちょっとぶっ飛んでますし。でも、同じく女性ですし、人生の先輩として私が役に立てることがあるかもしれません。その日が来るまで待とうと思っています」

若い頃と比べるといろんなことに寛容になれる、と美紀子さんは自己分析する。一家の大黒柱として働いてきたから、世の中の既婚男性の気持ちもわかるようになったという。修さんのほうは前妻との別れで主夫業を急に経験することになり、「終わりのない家事」の大変さを味わった。今では美紀子さんよりも食材の価格を把握している。

キス以上は墓場まで

最後に、気になる「不倫体質」について。修さんにも美紀子さんにも当てはまる。それぞれに相手の行動に対してどこまで寛容になれるのかを聞いてみた。まずは美紀子さん。

「他の女性と食事に行ったり、腕を組んだりするのはOK。私が興味ない趣味の分野であれば、女性と2人きりで行ってもOK。キス以上は私に死ぬまでバレない覚悟でどうぞ。徹底的に隠してほしい。知らんかったらなかったことになるので。でも、夫はうそつくのも隠すのもとてもへたくそなので、ときどきカマかけるつもりです(笑)」

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相変わらずあっけらかんとした回答である。相手の女性の立場に自分がなる可能性もある、という意味かもしれない。一方の修さんも同じような答えだ。

「お茶やごはんにいくのはOKだけど、手をつなぐ、腕を組むは微妙。キス以上はやるなら墓場まで持って行ってくれ。ライブはいいけどゴルフを男性とふたりきりはダメ」

ちなみに修さんは大のゴルフ好き。自分が愛する趣味に関しては美紀子さんも他の男性とは楽しんでほしくないらしい。独自の世界観である。

共通しているのは結婚相手に対するかなりオープンな態度だ。それはやはり人生経験が影響しているのだと筆者は思う。自業自得も含めて人間関係で苦しんだ経緯があるからこそ、「いま、この人と一緒にいられてうれしい。ちょっとしたことは許し合いたい」と思えるのだろう。現在を幸せに感じるためだけに過去はあるのだ。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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