別居した当初、離婚などは考えなかった。しかし、仕事に夢中になるにつれて前夫との価値観の違いが表面化。老後を一緒に過ごすイメージが持てなくなっていったと美紀子さんは振り返る。
「前の夫は何事も自分優先の人でした。私が稼げるようになったら小遣いを増やしてくれと言ったり、離婚するときも親権より車の権利を主張したり。結婚には向いていない人だったのだと思います」
娘たちが成人するまでは養育費として前夫から月4万円の支払いはあった。ただし、大学の学費などはすべて美紀子さんが負担。それだけの甲斐性が美紀子さんにはあったとも言える。入社当初は数名だった社員数が退職する頃には数十名に成長。その立役者だった美紀子さんは役員にまで昇進した。仕事にのめり込む過程で、師匠であった社長とは恋仲になる。社長は既婚者であり、美紀子さんも離婚する前だったようだ。いわゆるダブル不倫である。
「大人のお付き合いのつもりでした。公私はキチンと分けていたので、彼が病気になるまでは他の人には関係は知られていません。でも、彼のほうが本気になって奥さんに別れる前提で話をしていたようです。病気になってから奥さんが彼の携帯を見たのでしょう。私のことがバレてしまいました」
会社をクビになり、独立開業
社長は病から回復せずに亡くなってしまう。美紀子さんは不貞行為を責められる形で退職を余儀なくされる。
「彼は50代で命を落とし、私は会社をクビになりました。それが私たちの罪と罰だったのだと思います。因果応報です」
と言いながらさほど反省しているように見えない美紀子さん。良くも悪くも過去のことは引きずらない性格なのだろう。そして、退職金を使って前職と同分野で独立開業を果たす。
美紀子さんの顧客には独身女性が多い。婚活に関する相談を受けることもあり、結婚相談所への関心が高まったという美紀子さん。晩婚専門の結婚相談所を見つけて入会し、翌月に3人の男性を紹介され、LINEでのやり取りが「毎晩2時まで」盛り上がった修さんとだけ会い、翌月には成婚退会をしている。行動力と決断力の高さが伺えるエピソードだ。
「その結婚相談所は入会金3万円で月会費1万円。法律婚を望まない人も多い世代なので成婚料は取りません。紹介した後は自分たちでいいようにどうぞ、大人なんだからお節介はしません、というスタンスでした」
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