大塚家具の対立、見逃された「3つの視点」 決算書で読み解く父娘それぞれの経営哲学

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しかも、開示された大塚家具のデータには、従業員数の記載欄に、臨時雇用者(パート)の記載がありませんでした。ということは、ほとんどの社員が正社員なのです。

ちなみに、同業のニトリでは、2013年度は、正社員が8373人に対してパートが8511人いました。ですから正社員とパートが半々です。また、同じく同業の島忠では、正社員が1620人に対してパートが2888人もいました。こちらは、パートのほうが正社員よるもはるかに多いのです。

データが示す、誠実で堅実な大塚勝久氏の人物像

このデータを見て、筆者が感じた大塚勝久氏の経営哲学は、以下のようなものでした。

「大事なお客様には、ちゃんと教育を受けた社員しか対応させない」

「従業員は縁があってウチの会社に入ったのだ。簡単には、彼らをクビにしない」

これだけでも、十分に従業員思いの人物です。それどころか、2003年以降、会社の業績が徐々に悪くなっても、賃下げもしていないようなのです。

つまり、大塚勝久氏は、今どきのブラック企業の経営者とは真逆の人なのです。

逆風下には不利な経営姿勢

次に筆者は、貸借対照表を下から読んでみました。2014年12月末の貸借対照表のいちばん下には、その会社の総資本と自己資本が記載されており、そこで計算された自己資本比率(=自己資本÷総資本)は74%でした。

自己資本比率は高いのが望ましいと言われます。上場している小売業者の平均的な水準は、およそ40%程度ですので、大塚家具の自己資本比率は著しく高く、財務基盤がそうとう充実していることがわかります。

ちなみに、2014年12月期における利益剰余金(過年度より蓄積された利益の総額)は、279億円にも上りました。

一方、負債の部をみましたが、有利子負債などはなく、無借金経営をしていました。

ですから、決算書を見るかぎり、大塚勝久氏がいかに誠実で、堅実な経営をしてきたのかがうかがえるのです。

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