大塚家具の対立、見逃された「3つの視点」 決算書で読み解く父娘それぞれの経営哲学
しかし、創業者である勝久氏の考えは違いました。
「ウチは、他社のような商売をしているのではない。いい家具をそろえる。そして買い物それ自体を楽しむ。すてきな家具を買いそろえるプロセスが大事なのだ」
「高級マンション、立派な邸宅であっても、家具が見劣りしてしまえばなんにもならない。立派な邸宅に見劣りしない家具を提供するのがウチの強みだ。これは、絶対に他社にはまねできない。ウチの独占市場みたいなものだ」
「それなのに、娘は、そのウチの持ち味を完全に破壊しようとしている」
大塚勝久氏は、そう考えたのかもしれません。
記者会見で、大塚勝久氏は、「彼女を社長にすべきではなかった」と発言しましたが、筆者はそうは思いませんでした。久美子氏が、もう少し融通のきく人ならば、「じゃあ、私は会社を辞めるわ。この会社はお父さんが築いた会社だから、お父さんの好きにすればいいと思う」と言って親の意見を聞き入れたかもしれません。
しかし、筆者は、そういうのがいちばん企業経営者として無責任だと思うのです。自分がまじめに社長をやって、その結果としてたどり着いた確信があるならば、たとえ父親が偉大な経営者であっても、自分の信念を貫くべきなのです。ですから、経営者として責任ある行動をとった久美子社長は、勝久氏と同様、立派な経営者だと思います。
これと類似した光景は日本中にゴマンとあります。このような対立も、大塚家具が有名企業だからこそ、大々的に報じられたにすぎないのです。この2人の人物の、会社の進路をめぐる争いは、27日の株主総会で決着するはずですが、筆者はかたずをのんでその結果を見守っております。
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