【産業天気図・建設業】設備投資回復や羽田拡張で受注減少に歯止め、今後は収益力向上が課題に

●お天気概況
 冴えない天気が続いたゼネコン業界にも、ようやく薄日が差し込んできたようだ。業績の先行指標となる受注(単体ベース、開発事業なども含む)は2004年度、大手4社では鹿島が03年度に比べて26%増の1兆4844億円となったのを始め、大成建設が18%増の1兆4255億円、大林組が15%増の1兆2944億円と、清水建設(6%増の1兆2595億円)を除く3社が2ケタ増を記録した。
 大手4社(未上場の竹中工務店を含めると大手5社)と地場ゼネコンの間に挟まれて苦戦が続いた準大手でも、熊谷組こそ減少傾向から脱していないものの、戸田建設は7%増の4558億円、前田建設工業も3%増の3895億円と2年ぶりに回復。公共工事の縮減に苦しんだ西松建設も16%増の4531億円と5年ぶりに回復した。
 受注回復の要因は、国内設備投資の復調だ。建築は都市再開発など首都圏を中心にマンションやオフィスビル、テナントビルが高水準で推移したうえ、設備投資の回復で工場などの受注が増加した。公共投資抑制で減少傾向が続いた土木も、総額6000億円の大型プロジェクトである羽田空港の再拡張工事が貢献、受注回復要因の1つとなっている。

●今後の注目点
 建設経済研究所の予想によると、今05年度の建設投資は52兆7000億円、04年度比0.7%増と9年ぶりに増加に転じる見通しだ。04年度に回復した民間住宅投資は一服するが、オフィスビルや工場など非住宅は堅調な伸びが続く。縮減傾向だった政府建設投資も公共投資の縮減は続くが、災害復旧関連の補正の影響で04年度並みの水準を維持すると見られている。
 ゼネコン各社にとって受注確保と並んで今後の課題となるのは収益力の回復だ。ゼネコン大手の完成工事粗利益率は価格競争激化で年々低下。2000年度まで10%台を誇った大成建設の粗利益率は、04年度には7.8%まで低下した。鋼材など資材価格の総コストに占める割合は「4~5%程度」(大成建設)。これまでの上昇分は「外注費の抑制や施工管理の強化で吸収可能な範囲」とする社が多いが、これからは資材価格ばかりではなく物流費などの上昇も予想される。価格競争に走ることなく、十分な利益を上げられる受注を確保できるかどうか。各社の巧拙が問われる。
【野口晃記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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