36歳会社員の彼が「育児うつ」になった驚きの経緯 子育て見据え地元企業に転職した後に起きたこと
その後、勇一さんは5月に職場に復帰したものの、翌年の10月いっぱいで離職した。うつが理由ではなく自営で暮らす見通しがたったからだが、冒頭で記したとおり通院は続けている。
男性の産後うつ、育児うつケアは未開拓
女性の場合、産後1カ月検診などで産婦人科を訪れる機会もあり、そのたびに心身の変化を第三者に相談するチャンスがある。ところが男性の場合、そうした窓口はどこにもない。
東京都在住で二度目の育休取得中の中西信介さん(35歳)は、「パパが相談できるところはなかなかない」と話す。
中西さんの家庭は妻が会社の経営者。中西さんは保育園の職員として勤めている。妻はまとまった休みを取りにくいこともあり、前回の出産も育休の取れる中西さんが1年間休むことにし、生まれた子どもの面倒を見てきた。
そんな中でやってきた行政からの家庭訪問。各自治体には生後28日以内(里帰り出産の場合は60日以内)の家庭に保健師が訪問する制度があり、子どもの育ちの相談などが受けられるというものだ。
訪問は妻と2人で対応したが、担当者は妻にばかり話しかける。妻が子どものケアは夫が中心でやっていますと話したが、
「お父さんはちょっと席を外してもらえますか?」
と、担当者から言われる場面もあった。
「母乳のことなど、女性特有の体の変化についての話もあるでしょうし、そういう時間があるのは仕方がないとは思いました。メンタル面の変化の聞き取りなどもあるようです。でもパパ側のメンタルのことは聞かれることなく終了です。
行政からの訪問は、ママ側に対しては産後うつや、育児うつの予防的役割も果たしていると思います。でもパパに対してはなにもありません。恐らく、うつになってからしかわからないのではないでしょうか」
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