36歳会社員の彼が「育児うつ」になった驚きの経緯 子育て見据え地元企業に転職した後に起きたこと
だが、勇一さんの育休期間が終われば、双子の育児は妻が1人で担うことになる。そこで考えたのが、子どもたちを保育園に預けることだった。妻がたとえパートであったとしても夫婦が働いていれば保育園の申請ができる。保育園の協力を得ながら双子を育てようと考えたのだ。
妻のパート先はすぐに見つかった。保育園を申請し、2019年3月、週3日勤務で妻のパート勤めが始まった。だが、このとき1つ問題があった。保育園への入園は4月から。入園までにはまだ日にちがあったのだ。幸い、勇一さんの育休期間がまだ残っていたため、入園までの間は妻が働きに出ている週3日7時間、勇一さんがワンオペで双子を見ることにした。
育休期間を終え職場に戻ることを考えると
当時子どもはすでに1歳。ミルクを飲んでは寝てを繰り返す新生児のときとは違い、ハイハイもするため目が離せない。しかも双子だ。思いおもいに動く2人。外にも連れていきたいが、夫婦2人で育てていたときとは勝手が違う。
「1人で外に連れて行くのは怖くてできませんでした」(勇一さん)
突然始まったワンオペ生活に困惑するようになる。同時に、自身の育休期間終了が近づいてくると、猛烈に不安な気持ちが襲ってきた。
「自分は社会に戻れるだろうか……」
「どうやって会社に戻っていけばいいんだろう……」
仕事が第1のプライオリティーだった生活から一変、家族と濃密に毎日を送った勇一さんは、働いている自分の姿を思い出せなくなっていた。加えて、転職して1年も経たないうちに育休を取得しているため、なじんだ職場に戻るという訳でもない。ワンオペ育児の最中、そんな事ばかりを考えるようになっていた。
勇一さんの異常に気がついたのは妻だった。
ぐずるわが子の背中をトントンとあやしながらも、窓の外の一点だけをボーッと見つめてばかりいる夫。「ちょっと出てくる」と言ったきり、なかなか帰ってこないこともあった。
「当時はあてもなく外をぶらぶらしていました」(勇一さん)
これはおかしい。
「ねぇ心療内科に行ってみない?」
妻は勇一さんにそう持ちかけた。心療内科をネットで検索、自宅からいちばん近い病院の門をたたくと、医師は「うつだろう」と診断した。通院を続け、病院でもらった薬を飲み始めると、気持ちは少し楽になった。
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