外国為替市場で個人投資家の円売りポジションが増えている。日本の当局による円買い介入が取り沙汰される中、円が急反発する場面が増え、個人投資家にとって円売りの好機となっている。
外為どっとコムが公表しているドル・円のポジション比率では、ドル買い・円売りポジションの割合が8月以来の高水準となった。海外市場で介入の可能性が報じられた21日時点で67%と前日の44%から急上昇し、週明け24日にはさらに68%に達した。
「タイミング的には介入がいつになるかは分からないが、いざ介入があればそこはチャンスと捉えている投資家が多いように感じる」。外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、今後も「1ドル=150円を超える局面ではしばらくは個人もドル売り・円買いを増やすだろうし、介入があって2、3円以上ドル安になる局面では積極的にドルを買ってくる」と予想。「介入効果という意味で、当局から見れば苦々しい動きかもしれない」と話す。
21日の海外市場では151円95銭と1990年7月以来の水準まで円安が進んだ後、146円台前半まで円が急反発し、政府・日本銀行が円買い介入を実施したと報じられた。週明け24日の東京市場でも149円台後半まで円売りが進んだ後に145円台半ばまで円高に振れる場面があり、介入の可能性が意識された。
21日の円買い介入は5.5兆円規模か、日銀当座預金見通しが示唆
神田氏は、「20日までドル・円は12連騰だったので、21日の151円台からのドル・円急落局面でやっとドルの押し目が来たという意識が強かった」と説明。ドル・円が150円を超えてきて短期的に介入期待でドルを売っていた投資家も、介入が入った局面で利益確定に動いたことで、「がらっとポジションが逆転する動きになった」と言う。
個人の円買いポジションが増加、円買い介入再開を警戒
東京金融取引所が運営するFX(外国為替証拠金取引)取引所「くりっく365」でも、ドル買い・円売りポジションが21日に23万9409枚と前日から3割以上増え、24日にはさらに24万2792枚と昨年9月以来の高水準となった。
フジトミの山口哲也チーフテクニカルアナリストは、「介入時にドル・円の安値を拾おうという考えによるもので、当局が介入してもその前の価格に戻ると分かっているのだろう」とし、「個人投資家にとっても、とても簡単にトレードできるところだ」と話している。
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著者:小宮弘子
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