では、日本がこの米中大国間競争の時代に同地域に関与するにあたり目指すべきことは何か。それは、
② 同志国が有する強みを生かし、効果的な役割分担で共同して関与すること
であろう。
特に重要になるのは、日本が同地域との「イコール・パートナーシップ」という基本姿勢に基づき活動することだ。同地域の最優先課題は気候変動、自然災害、失業、貧困等の人間の安全保障であり、軍事安全保障や大国間競争ではない。日本はその認識に基づき、同地域と課題を共有する島国として共通の問題解決に取り組んできた実績がある。
中国との対立構造を持ち込まないように
日本は1997年から同地域との首脳級会合である「太平洋・島サミット(PALM)」を開催し、「イコール・パートナーシップ」に基づいた関係を重視する姿勢を示してきた。米中の大国間競争が影響する今こそ、日本と同地域との「イコール・パートナーシップ」を改めて強調することが重要であろう。そして、米豪ニュージーランド等と連携した取り組みの効果を高めつつ、域内に中国との対立構造を持ち込まないようにすることが求められる。
これまで一枚岩と言えなかった西側諸国にも日本と協調して同地域を支援するという動きが見られる。アメリカは今年6月に日本、オーストラリア、ニュージーランド等による同地域への支援枠組み「ブルーパシフィックにおけるパートナー」を設立し、9月に同枠組みの外相会合が実施された。会議後、共同声明が発表され、会合参加国は同地域の「ブルーパシフィック大陸のための2050年戦略」を支えていくことを明らかにした。
今後、日本は同志国と連携し、この戦略の推進役を期待されよう。日本は同地域の「イコール・パートナー」として、「自由で開かれたインド太平洋」を維持するための各種課題に、太平洋島嶼国と共に取り組む姿勢を行動で明確に示していかなければならない。
(車田秀一/地経学研究所客員研究員)
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