「太平洋島嶼国めぐる米中競争」日本の向き合い方 「イコール・パートナーシップ」の強調が重要だ

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またUSCCによると、中国は民進党政権が成立した2016年から台湾への圧力を強化し、その一環として同地域において台湾との国交を有する国を引きはがす動きも活発化している。2019年、ソロモン諸島とキリバスは中国と国交を樹立し台湾と断交した。同地域では依然として4カ国(パラオ、マーシャル諸島、ナウル、ツバル)が台湾との国交を維持しているが、一部報道によると、中国はこれらの国に対する国交樹立の働きかけも行っている。

さらに、中国の同地域に対する影響力拡大の試みは安全保障面にも及んでいる。オーストラリア戦略政策研究所は、中国によるキリバスのカントン空港の修復工事の提案について民間用途以外での利用の可能性を指摘している。また、中国は5月に中国・太平洋島嶼国外相会議の場で同地域との地域貿易・安全保障協定の草案への調印を試みた(しかし、この試みは一部の国からの反対を受け合意に至らなかった)。

アメリカによる巻き返しと直面するジレンマ

これまで中国による太平洋島嶼国に対する影響力拡大の動きを静観していたアメリカも、近年の軍事基盤獲得の疑いがある動きには強く反応している。例えばキリバスはアメリカ太平洋軍司令部が所在するアメリカ・ハワイ州から約3000kmの距離に位置し、米豪のアクセス経路上にある。オーストラリア戦略政策研究所は、中国が同国の滑走路を自由に利用できるようになると、太平洋での有事の際に中国が同地域において優位な立場を獲得する可能性があると見ている。

特に今回の協定署名はアメリカ政府の動きを加速させた。バイデン政権は7月に実施された「太平洋諸島フォーラム」においてキリバスおよびトンガに大使館を開設することを表明するとともに、9月に同地域と初の首脳会議を開催した。アメリカ政府は会議の場で同地域への8億1000万ドルの援助を発表するとともに、同地域に対する初の戦略となる「太平洋パートナーシップ戦略」を発表した。

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