「仕事が楽しい」の本当の意味を教えよう 「楽しい」と「つらいことだらけ」は両立する

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働く理由として、「社会のためになるから」という答えを挙げる人もいます。でも冷静に考えてみると、会社に入って1~2年は右往左往するだけで、とてもじゃないけれど社会貢献している実感なんか得られない人が多いのが現実です。

もし「社会のためになる」ことが働く理由だとしたら、多くの人が入社して1~2年で辞めてしまうはずですが、実際にはそうはなっていないので、どうもこれも働く理由としては正解ではないようです。

先ほど、多くの人が、大学で授業を受けるよりは、仕事のほうが楽しいと感じる、またはそう思っている、だから大学生活は四十数年続けられなくても、仕事は続けられると説明しました。

ではなぜ、毎日長時間、休みも少ないのに、仕事って楽しく感じられるのでしょうか? 実は、私は仕事の楽しさって、クラブ活動で感じられる楽しさに似ていると考えています。

仕事は構造的にクラブ活動と通じる

学生時代に、サッカー部や野球部に所属していた人にその頃のことを思い出してもらい、「楽しかったか」どうか尋ねてみると、大概の人が「つらいこともあったけど、いま考えると、楽しかった」と答えてくれます。この感覚こそが、「仕事が楽しい」という感覚の正体なのです。

部活動の大半を占めるのは、練習のはずです。多くの部活動では、活動時間の9割近くを練習に費やしているのではないでしょうか。練習と試合ではどちらが楽しいか? 答えは、試合に決まっていますね。つまり、楽しい試合は全活動時間のたった1割しかないのです。

さらに言うと、仮に試合に出たとしても、例えば野球の場合、バッターボックスに立つ時間より、ベンチにいる時間のほうが圧倒的に長くなります。ベンチで自分の打順を待っているより、実際にバッターボックスに入ってピッチャーと対決するほうが楽しいに決まっています。でも、その時間はほんのちょっとしかないのです。

守備でも、自分のところにボールが飛んでくるのは、キャッチャーやファースト以外は案外少ないので、ほかの時間はボールが来るのをただただ待ち続けなくてはいけません。

つまり、バッターボックスでピッチャーと対峙したり、自分のところにボールが飛んできて、華麗な守備を見せたりできるチャンスは、野球というスポーツの場合、非常に少なく、どう多く見積もっても、せいぜい1試合の中の1割もないのです。

先ほど、部活動に費やす時間の9割が練習で、試合は1割にも満たないという説明をしました。その少ない試合時間の中で、個々のメンバーが面白いと思える時間は、これまたせいぜい1割程度しかありません。

これらを合わせて考えると、部活動に使っている時間のたったの1%しか、個々のメンバーが面白いと思える時間は存在しないのです。

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