「ウェンディーズ」トレーラー店は成功するのか? 紫関社長「ファーストキッチン買収のメリット」

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というのも、1977年から日本ブランドとして展開してきたファーストキッチンは繁華街や商業施設内など有利な立地を確保できている。そこで紫関氏は、①都心、②大都市、③郊外の順で、ファーストキッチンからウェンディーズ・ファーストキッチンへのリニューアルを進めてきた。店舗づくりでこだわったのは、「サードプレイス」を意識し、ゆったりとくつろげる内装だった。

メニューとしては、ビーフ100%の四角いパティを挟んだ「ウェンディーズバーガーUSA」が看板メニューだが、そのほか日本オリジナルの「ウェンディーズベーコンエッグバーガー」や、パスタ、フレーバーポテトといったファーストキッチンのメニューも扱っている。

結果的に、合体のメリットは大きかったようだ。

「ファーストキッチン単体よりも最低でも150%以上、いいときは2倍近く売り上げがアップした」(紫関氏)

左はウェンディーズ・ファーストキッチンの看板商品、「ウェンディーズバーガーUSA」(590円)。四角いパティの形と、ビーフ100%で肉の量が100gとボリューム感があるのが特徴。右は期間限定商品の月見B.B.P.バーガー(790円)。B.B.P.はBBQベーコンポテトの略で、ハッシュポテトを挟んでいるところが新しい。甘酸っぱいソースが各種の具材の味をまとめ、ポテトのカリッとした食感もあいまって、立体感のある味わいに仕上がっている(撮影:大澤誠)

ファーストキッチンとウェンディーズの合体

ファーストキッチンはもともと女性に訴求力の高いブランドだったが、ウェンディーズと合体しボリュームのあるバーガーのメニューが増えたこともあり、男性客の取り込みにつながった。客数アップのほか、ウェンディーズのメニューの単価が比較的高いことも背景にあったようだ。アメリカのメニューも、日本オリジナルのメニューも幅広くそろえていることから、インバウンドの需要も高かった。

しかしコロナ禍では客のニーズがイートインからテイクアウトへと移行。現在もディナー需要が戻らないことによる、業績への影響は少なくないようだ。

もう一つ、全国展開のうえで課題となるのがブランディングだろう。

糖質3.4gのワイルド☆ロック(730円)。根強い糖質オフニーズに応えるメニューだ(撮影:大澤誠)

やはり、店名にまつわる「ややこしさ」はブランドの消費者への浸透を阻む一因となっている。現在は「ファーストキッチン」(国内58店)と、コラボ店である「ウェンディーズ・ファーストキッチン」(国内54店)の2ブランドが混在している状態。

そしてどちらかと言えばオレンジのブランドカラーが定着しているファーストキッチンに比べ、ウェンディーズ・ファーストキッチンのブランド訴求力は弱い。両者のメニューの差異も伝わりにくい。

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