5月までの日本株の値動きを予想しよう つかみどころのない今の市場の読み方

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このため、売りを進めた個人投資家が、株価上昇の持続に白けているだけではなく、小型株を売らずにじっと持ったままの個人も、「日経平均ばかりが躍り上って、自分の持ち株が上がらない」と浮かない顔だ。

結局、物色に戸惑いも?

業種別の株価動向をみても、ちょっと腑に落ちない動きが散見される。

たとえば2月中旬まで、銀行株の株価上昇に勢いがあった。ひところより長期金利が、水準を若干ながら高い方向に修正したため、貸出金利の上昇から利ザヤが改善する、との理由が囁かれた。

だが、まだ銀行からの借り入れ需要は、回復してはいるがそれほど強いとは言い難い。銀行株の跳ね上がりは予期せぬ踊りである。

また足元では、医薬品株の上昇が顕著だ。こちらも、業績の安定感が投資家の買いを呼んでいる、等々の理由が挙げられているものの、どうも切れの良い解説が聞こえてこない。

こうした業種の物色は、単に注目されていなかったものが買われている、ということではないだろうか。

円が安い水準で推移しているから輸出株だとか、インバウンド消費、すなわち海外旅行客による消費が盛んだから小売や日用品関連の株価だとか、主要な物色テーマはいくつかあるが、今はこうしたテーマの狭間に置かれ、あまり買い進められてこなかった業種を買おう、との動きに見える。

ということは、積極的に買い入れる前向きな理由がある、つまり「フロアの中心でスポットライトを浴びそうな花形ダンサーの物色」というよりも、これまで何もなかった、部屋の隅にひっそりとたたずんでいた「壁の花」を出遅れ感から拾っていこう、との消極的な買いとも解釈できる。やはり踊り場全体が熱気に包まれている、という感触が薄い。

次ページ過熱感が乏しいのが、かえって幸いする
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