「英語コミュ障」の大きな原因の1つは、英語の授業における減点式の教育です。例えば、三単現のsをつけ忘れて「He go to high school.」のような英文を書くと、「He goes…」が正しいとして×がつくか減点対象になってしまうケースが非常に多くあります。
しかし実は「He go…」のような英文も、間違いだとは言い切れません。言語学的には「ネイティブスピーカーが使う言葉が正しい」とされます。例えば洋楽の歌詞で、三単現のsがついていないケースはよくあります。
有名なのは、ビートルズ(The Beatles)が歌った『Ticket to Ride(涙の乗車券)』に含まれる「She don't care.」というフレーズでしょう。三単現のsをつけないと、訛って聞こえたり、あまり教養がないように判断されたりすることはあるかもしれませんが、決して間違いとは言えないのです。
他にも、よく間違いだとされる例を挙げておきましょう。
● 過去形が使えていない(例:I get this yesterday.)※正しくはgot
● 冠詞が抜けている(例:I bought book.)※正しくはa book
● 複数形になっていない(例:I have three apple.)
※正しくはapples
● 前置詞が違う(例:I got in the bus.)※正しくはon
これらに関しては、確かに「文法的な間違い」に分類されるでしょう。しかし大切なのは、これでも間違いなく通じる─ということ。この「通じること」の重要性はきちんと認識しておくべきでしょう。
もし上記のような小さな間違いを気にしすぎて、通じるはずの英語が言えなくなってしまったならば、それこそ本末転倒ですよね。コミュニケーションを目的にしたならば、伝えようとしないことこそが間違いになります。少しくらい間違っていても、堂々と英語を話す姿勢こそが大切なのです。
間違いは2種類に分類される
それでもやはり間違いが気になってしまう……という方にお伝えしたいのは、専門的には間違いは2種類に分類されるというお話です。「ミステイク(mistake)」と「エラー(error)」の2つです。
ミステイクとは、自分でも気づける種類の間違いを指します。例えば、日本語でも「言い間違い」や「書き間違い」を誰でもしますが、自分でその間違いに気づくことができます。
そもそも、人の行動は無意識に行われるものです。例えば日本語を話す時に、口をこのくらい大きく開けよう…とか、舌をこうやって動かそう……などとは考えないはずです。考えているのは話の内容や伝え方などであり、口を動かすところや、使う単語を選ぶことなどは基本的に無意識に行われます。
そして後から、自分がした行動が意識に上り、その時点で間違いに気づける(もちろん気づかないケースもある)─という図式になっているのです。
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