半分が犯罪利用?ビットコインの「不都合な真実」 違法取引、詐欺、消失……暗号通貨の暗い一面
犯罪はあらゆる暗号通貨にとって問題であるが、最近の研究が推定するところでは、ビットコインの支払いの半分が不正な取引に使われているという。2016年までは取引の実に60~80%がこの目的に使用されていたのだ。
その後減少したのは、急に反省して不正取引の排除に励んだから、というわけではない。違法行為の大半がほかの暗号通貨に移行したからであった。
とりわけ、取引情報をぼかして隠すことにすぐれた(そしてそれに特化した)設計になっているモネロ(Monero)への移行が顕著であった。
冷蔵庫を使った暗号通貨をだまし取る?
暗号通貨に魅力を感じるのは、違法商品を売買する者だけではない。詐欺師も暗号通貨が大好きなのだ。
新しい技術にはいつもすばやく手を出す詐欺師たちは、暗号通貨の世界を新たな縄張りにしている。かれらは、暗号通貨が犯罪者にとって夢のような通貨であることに早くから気づいていた。匿名で、追跡が難しく、世界中に簡単に送金できるからだ。
そのことを発見してからというもの、巧妙な詐欺師たちは、たとえば、他人のコンピューターにマルウェアを仕かけ、その計算能力をビットコインの採掘に利用するといった手法で暗号通貨を「獲得」している。おめでたいことに、コンピューターの所有者はふつうはそれに気がつかない(予想を上回る電気代に困惑することはあるかもしれないが)。その間に詐欺師たちが報酬を得るのだ。
こんな冗談がある──「スマート冷蔵庫がオーバーヒートし始めたら、おそらくビットコインを採掘しているのだ」。ほかにも、詐欺師たちがシステムをハッキングして秘密鍵を入手し、それを使って他人の暗号コインを手に入れるという事例が数多く発生している。
しかし、もっとも大きな詐欺事件は、暗号通貨取引所(暗号通貨を売買できる市場)が関与するものであった。このような取引所では、顧客の資金と暗号通貨の両方を保管していることが多い。