半分が犯罪利用?ビットコインの「不都合な真実」 違法取引、詐欺、消失……暗号通貨の暗い一面
ビットコインやイーサリアムなど、新しい決済手段として注目される暗号通貨。現時点では決済の実用手段というより投機手段として目立っているが、各国が中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)の可能性を模索するなど、将来的な可能性は計り知れない。だが光あるところに影あり。技術革新に目ざとい犯罪者や詐欺師たちが、この未来の決済手段、暗号通貨を放っておくはずがない。決済オタクであり、SWIFT(国際銀行間通信協会)の元CEOでもあるゴットフリート・レイブラントの新刊『教養としての決済』(ナターシャ・デ・テランとの共著、大久保彩訳)から、暗号通貨にまつわる犯罪、あるいはトラブルの事例を紹介する。
ダークネットで取引される暗号通貨
現金と同様、多くのビットコインの支払いは地下経済でおこなわれている (公平を期して言えば、それはビットコインに限った話ではないものの)。
暗号通貨は、ダークネットとよばれるオンラインの違法取引のエコシステムに欠かせないものになった。ユーザーはTorというプロトコルを通じてダークネットにアクセスすることができる。
Torは、匿名での閲覧のためのプロトコルで、アメリカのインテリジェンス・コミュニティのためにアメリカ海軍が開発したものだ。怪しげな独裁政権の下で活動する合法的な活動家の支援が目的とされていたが、合法的な民主主義国家における 違法な活動にとっても同様に役立つことがわかった。
現在では、麻薬や武器からマルウェア、盗難クレジットカードの番号、不正な銀行口座まで、あらゆるものを販売する怪しいマーケットを匿名で訪れる際に、ひろく利用されている。
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