「太陽光27円、他の再エネは据え置き」の狙い 調達価格等算定委員会の植田委員長に聞く

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価格だけでなく、規制改革やインフラも重要

――他の再エネを普及させ、全体のバランスを取るためにはFITの価格以外の政策や取り組みも必要と思われる。

そのことがFITを通じてよくわかった面もある。一つは規制改革が重要で、風力の環境アセスメントを見直すとか、地熱開発で国立公園との関係をどうするかとか、農地転用の制限を緩和するとかといった問題がある。もう一つは電力系統(送電網)の問題で、特に出力の変動性が大きい太陽光や風力発電への対応をどうしていくかだ。

FITという制度は、投資に確実性を持たせることが意義として大きい。今後はFITの価格よりも、再エネに関する“ルール”が投資の確実性を促すようなものになるかどうかが、重要になってくるだろう。確実性が危ういと投資家は躊躇する。投資家の“マインド”がどうなるかが大事で、政策がメッセージをはっきり出す必要がある。

電源構成比で積極的な目標値が必要

――経産省でエネルギーミックスの議論が始まっているが、電源構成の中での再エネの位置づけをどう考えていますか。

私がFIT制度で問題だと思うのは、明確な目標値がないということだ。国民負担についても、どこまでが上限といった議論もない。何にもない中で法律だけあるといった感じだ。

エネルギーミックスの中で再エネの積極的な導入量の目標値を指し示すことは、事業者にとってマインドをはっきりさせる意味で大きい。もちろん現実的な数値にする必要があるが、欧州などでは、はるかに進んだ数値のレベルで議論している。

再エネは廃棄物の出ないエネルギー源であり、市民参加や地域の活性化など多面的な意義を持つ。国産のエネルギーでもある。そうした意義を踏まえたうえで、積極的な目標値を政策的に出すことには大きな意味がある。

――2030年における再エネの電源構成比率の目標については。

最低でも30%にはいかなくてはならないと考えている。
 

中村 稔 東洋経済 編集委員
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